第153話 アンブリゴナイトの熊現る

「蝦蟇爺。何処へ行くんだよ!!」

「黙って言う通りに走れ!!」

「追ってきたわよ!」


後ろから追いかけてくる魔王軍の兵士達。


「おお!あそこじゃ!あそこへ飛び込め!」


飛び込めって岩じゃんかよ!!


「何考えてんだよ。激突するだろ!」

「スベコベ言うな!早くとびこまんかい!!」

「涼。やって見ましょう!」

「あーもうわかったよ!!」


涼はアリシアを抱き上げお姫様抱っこする。


「ちょ!」


アリシアは真っ赤になる。


「行くぜー!」


涼は言われた様に木に絡まった巨大な岩に飛び込むと涼達はすり抜けたが兵士達は激突した。


すり抜けた先は周りが水晶に囲まれた洞窟だった。


「な、何だここ?」

「ヴァンフォワード様。ここは?」

「ここは話した熊が生まれた場所じゃよ。」


この洞窟が…蝦蟇爺が話してた熊の宝石獣の生まれた場所。

涼達は先へ進むと水晶に囲まれた水溜りとその真ん中に立っている一本の木がある広い場所へ出た。


「すげぇ場所だな…」

「涼。もう降ろして…」

「あ、わりい」


涼はアリシアを降ろした。


「熊の宝石獣が生まれた場所か…」

「その宝石獣はアンブリゴナイトの体を持つ鮮やかな輝きと怪力を持った熊の宝石獣だった。」

「アンブリゴナイトってレッドベリルと同じ価値がある幻の緑の宝石ですか!?」


アンブリゴナイト。

レッドベリルと同等の扱いを受ける幻の緑色宝石。

現実の世界でもまずお目にかかれないしかし脆く一般にはまず出回らない。


「うむ。レッドベリルは太陽の力を持つに対し、アンブリゴナイトは大地の木々の力を持つ自然のパワーそのものを持つ宝石じゃ。レッドベリルと違い宝石獣になれた希少宝石じゃよ。初代勇者の一人…小人族のグルミが操ったんじゃ。」


グルミってグルミ族の事か!?

ポップは本当に初代勇者の末裔だったんだな。


「初代勇者が使った方宝石獣達は皆、希少宝石が姿を変えた者達じゃった。アンブリゴナイトもその一つじゃ。もう失われてしまったがな…」


初代勇者のパートナーだった宝石獣達は希少宝石と呼ばれたまず見つからない幻の宝石と称され物ばかりで全部で6体いたらしい。その一つがアンブリゴナイトだ。



涼達が避難場所を見つけた頃、コハク達は正に戦闘中だった。


剣を引き抜き襲いかかってくる兵士達を斬り裂き倒していく5人。


「やれ!マキナ!」


時也がそう言うと巨大な機械仕掛けの魔獣の拳が振りかざされる。五人は交わすがすごい衝撃で周りが揺れた。


「この野郎危ないじゃないか!!」

「そこにいる方が悪いじゃないか?」

「ふざけんな!」


コハクが動物化し時也に爪で斬りかかる。


「おっと!」


時也は交わすと機械仕掛けの魔獣の中に入る。


「あ、きたないぞ!」

「虎と人だ当たり前の判断だよ!」

「屁理屈ぬかすな!!」


コハクは獣人化し機械仕掛けの魔獣の拳を体で受け止める。


「僕のマキナを受け止めるとは!?」

「僕達は戦隊だ。舐めるなよ!!」


コハクはそのまま機械仕掛けの魔獣を持ち上げる。


「な、馬鹿な!持ち上げられる訳が!?」


「うおりゃぁぁぁーーー!」


コハクは声を上げ機械仕掛けの魔獣を振り回すと投げ飛ばした。

機械仕掛けの魔獣は木々をへし折りながら森の奥へ飛んでいき巨大な樹木に激突した。


「やるなコハク!」

「はぁ…当然だ…」


コハクは息が上がると元に戻る。


「へぇ〜前よりやるじゃないか!」

「ぬかせ!」


カイエンと信道は同時にオスカルを斬りかかるがオスカルは無駄の無い動きで簡単に交わすと二人の背中に蹴りを入れるとその当たった箇所からビビが入るとバリンと割れると二人に大地震が降りかかる。


「くそ!また地震かよ!!」

「忘れてなそういや!」


二人はオスカルが空間を鳴らし地震を起こせる事を忘れていた。


「お二人とも!」


ルーガルは二人を掴み空へ上がる。

すると揺れは収まった。


「空中なら地震は無意味!」


な、訳ないだろ!


グラグラ!


「あらあらあら?」


オスカルは二人のスーツに亀裂をいれ為確かに接地面積を無くせば揺れは止まるがルーガルが二人を抱えていては意味は無かった。だってお前が設置面積になってりゃな!


ルーガルは墜落すると3人は地震に当てられた。


「た、立てませぬ!?お二人ともどいてくだされ!」

「お前馬鹿だろ!」

「事態を悪化したのはお前だろ!」


「パワーは上がってもおつむは空のままかよ」

「だったらこれはどうですか!!」


リアは剣を振りかざしなにかを放つ。


「何だこんなもの!」


オスカルは飛んで来た物を殴り地震を起こすが、その物体が張り付き逆に揺れが収まる。


「な、何だこれは!?」

「クッション宝石です!」


見た目はゼリーだがこれは超強力な粘着力の高いゴムである。涼が作った下らない人口宝石だが。

これならオスカルの地震を止められるのだ。


リアは二人の背中に放ちくっつけると地震を起こすヒビは張り付きリアは剥がす。

二人の揺れは収まった。


「た、助かった〜」

「リア。凄いな!」

「お見事ですぞ!」


「俺の地震を止めるなんてな!」


オスカルはそう言うと指を鳴らす。


「これでもう地震は怖くないぜ!」

「よくも馬鹿にしたな!」

「反撃かいしですぞ!」


「ふっ!」


鼻で笑うオスカル。

後ろから戻って来た機械仕掛けの魔獣。


「まだ居たのか…」


コハクはてっきり倒した気でいた。


「よくもやったな!この森一帯もやしてやる!」


機械仕掛けの魔獣が口から炎を放とうとした時だった。


グラグラグラと地震が起きる。


「うわ!また地震かよ!?」

「ちょっとオスカル。僕まで地震に巻き込むな!」

「バーカ俺じゃねぇよ!!」


は?この揺れは何だよ??


さっき機械仕掛けの魔獣が激突した巨木が光り出している。


「な、何だありゃ!?」


光り輝く巨木がだんだん熊の型になっていく。

巨木が木彫りの熊になるとヒビが入り中から眩い緑色の熊の宝石獣が現れた。


「グワァー!」


雄叫びをあげる熊の宝石獣。


「は?何だよアレは?」


熊の宝石獣は両手を広げると機械仕掛けの魔獣にしがみつくとベアハッグをお見舞いする機械仕掛けの魔獣に凄い勢いでヒビがはいる。


「うわ!マキナが破壊される!」


たまらず時也は機械仕掛けの魔獣と共に消えた。


「グワァー!」


凄い声で泣き叫ぶ熊の宝石獣。


「アレって宝石獣ですよね?」

「馬鹿な!マリケラ達以外に宝石獣はもういない筈だ!」

「でわ、あの熊はなんですぞ!?」

「アレ、蝦蟇爺が言ってた熊の宝石獣じゃないか?」

「それこそないだろのぶ。あいつらも等に居ないはずだ!」

「理論の言い合いしてる暇はありません!逃げてーー!」


リアが叫ぶと熊の宝石獣がコハク達にも攻撃して来た。


「グワァー!」


「何だよあの熊!?」

「俺たちまで攻撃しやがって!」

「とりあえず逃げるぞ!」

「魔王は?」

「後回しだ!」


コハク達は一旦撤退した。


オスカルはすでに森の上空に居た。


「アレが初代勇者の宝石獣か〜陛下の言う通り。まだ生きていたんだな」

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