第135話 裏切り

ガネットの玉座にたどり着いた2人が目にしたのは自らを飾りまくり玉座に踏ん反り返っているアイカだ。

ガネット国王を斑鳩の王子と結託し殺し王座を奪ったのだ。


「いい御身分だな。人殺しをして王座に踏ん反り返ってよ」

「泥棒女。貴様はとうとう許される範囲を超えてしまった。故に…」

「何かしら?」


涼とコハクは剣を構える。


「お前をそっから引きずり降ろす!」

「女王に牙を向けますの?」

「奪ったんだろが!お前は正真正銘の泥棒女だ!」

「王座を奪い合うもの。そんなのは世の理。私は当たり前の事をして王座を勝ち取っただけですわ!」


玉座に座りながら扇を片手に御託を並べるアイカ。


「貴様ッ!」

「思い上がるのも、大概にしろっ!!」


涼とコハクはアイカを殺すつもりで剣をふらかざすが。


カキン!


2人の剣を受け止めるフードを被った三人の男達。

三人は涼達を弾き飛ばすと後ろへ下がる涼達。

しかも、あの剣は!?


「真宝剣!?」

「オイ…まさか…嘘だよな!?」


三人はフードを脱ぎ捨てると現れたのは、和樹、海斗、愛である。


「お前達!?何のつもりだっ!!」

「女王陛下には指一本触れさせん!」

「は?何言ってんだよ!!」


三人は勇者石をはめ込む。


バイオレット!ザ!宝救武装!

イエロー!ザ!宝救武装!

シアン!ザ!宝救武装!


「「「宝救武装(ホウキュウチェンジ)!」」」


三人は剣を空へ掲げ声を上げると真宝剣の先から光の粒子が吹き出すと三人の身体に集まっていく。

光の粒子はスーツと鎧と肩当てとブーツ、手袋を構築し三人は装着し最後にパートナーを模したヘルメットを被り変身完了した。


「は!?何で変身出来るだよ!?」

「三人共一体どうしたんだ!?まさか!操られて」


三人は真宝剣を構え涼達に斬りかかる。

涼には和樹と愛が斬りかかる。涼はティラノファングを盾に弾きながら2人を相手にする。


「和樹、愛(まこと)!止めるんだ!」

「海斗!!何故その女に加担するんだ!!」


涼とコハクは一旦距離を取る。


「泥棒女!お前三人に何をしたんだ!!」

「何もしてませんわよ」

「嘘をつくな!じゃなきゃお前にやられたコイツらが従うわけない!」

「涼。俺たちは正気だ」


は!?何を言ってんだ…


「僕達は自らの意思で女王陛下に使えてるだけです」

「悪いな女王陛下のナイト様なんでね!」


ちょっとまてよ!まさか…


「お前達、裏切ったのか!!」

「最初から仲間のフリしてただけだ」

「嘘だろ?和樹、海斗、愛!!お前達はもう一度やり直すんじゃなかったのかよ!?」


あんなに苦しい思いをして沢山泣いてもう一度やり直したいんじゃなかったのかよ!?

それが、何で!?今までの芝居だったってか!?

そんなの信じられない。


「俺達は常にアイカの…いや女王様の為に働く!」

「さすがカイト様ですわ〜」

「僕は足の恨みを忘れてない!だからこうして女王様の再出発を待っていたんですよ。最初からね。」

「な、何だと…」

「お前達はまんまと騙されてたんだよ。馬鹿が!!」


涼はショックのあまり剣を落とし崩れ落ちた。


「お前達…涼の気持ちを踏みにじったなっ!!」


コハクは声を上げるとバク転しながら虎の姿になる。

スーツもそれに合わせ伸縮し両手両足に爪付きのプロテクターが装着されヘルメットは牙を生やした虎を模した物に変わる。ベルトから鋭い突起物がついた尻尾が装着された。


「ぐるる〜ガオッ!!」


コハクは怒りを爆発させた。

爪と牙を伸ばしながら三人に飛びかかる。


「あの猫の獣人いつのまにあんな姿に!?」

「心配するな」

「どんな姿だろうと」

「今の俺達には関係ない」

「抜かせ裏切り者!!」


コハクはカイトに飛びかかる。

カイトは簡単にかわすと足払いをコハクに食らわせる。

コハクは足を取られ転んでしまう。


「小癪なマネを!」

「即時錬成!」


愛はそう言って床に剣を指すとダイヤで出来た檻が現れコハクを閉じ込めた。


「アイン様さすがですわ〜」

「こなクソが!!」


コハクは立つ上がると今度は上半身が筋肉質になり足もがっしりした物に変わるとスーツも伸縮し上半身が大きくなり両手に籠手が追加された。

コハクは力一杯殴りダイヤの檻を破壊して出てきた。


「やだ〜まるでケダモノですわ〜」

「貴様ら!殺す!!」


獣人化したコハクの目が真っ赤になる。

思考回路が野生に支配されて始めたのだ。慣れない獣人化や動物形態に加えて急激かつ突然の進化に更に怒りがプラスされ野獣の本能が剥き出しになり始めた。


「ガオッ!!」


怒りに支配されたコハクは飛び上がり三人に鉄拳をお見舞いした。

三人は散り散りになり避けるが床に穴が空く。


「うわ!何だあの馬鹿力は!?」

「いつのまにか進化してあんな力を!!」

「だが、あれではただの獣に過ぎない」

「ガオッ!!」


コハクは雄叫びを上げると海斗に飛びつき互いの腕で抑え合い力比べになる。


「いてててて!!」

「ガオッ!」


コハクは海斗の腕をねじ伏せる。

獣人化したコハクのパワーは正に虎その物だった。


「カイトさん!」

「くらえ!」


2人は真宝剣から光の刃を放つがコハクには全く効いてない。

獣人化した身体はとんでもない防御力だった。


「駄目だ歯が立たない。」

「カイトふり払え!」

「無茶言うな!」

「このまま腕をへし折ってやる!!」


コハクは声を上げた。


その姿をじっと見ていた涼だが変貌するコハクに我を思い出し止めようと走る。


「コハク!それ以上は!!」

「雷酒一撃!」

「え?」


涼の肩を雷の弾が貫通しそのままコハクの右肩も貫通した。

たらたらと流れる血に激しい痛みが襲い…


「うわぁぁぁぁぁ!!」


涼は声を上げるとその場で右肩を押さえてもがく。

弾を浴びたコハクも倒れこんだ。

2人は変身が解けてしまった。


「な、何すんだよ!?のぶさん…!?」


何と2人を攻撃したのは変身した信道であるホウキュウゴールドであった。


「先生!遅いですよ!」

「わるいわるい。女王様よ。アンタが俺の剣を適当な奴に渡したから遅くなったんだぞ!」

「取られる貴方がわるいんですわよ。」

「やれやれ、困った主人だよ…」


は?主人??


「のぶさん…一体何の話をしてんだよ!?それにこの状況…訳がわかんねーよ!!」


涼は枯れる程の声を上げる。


「まあ、なんだあ〜俺達寝返る事にしたんだ。ジュリアン皇帝陛下とアイカ女王陛下にな!」

「は?」

「お前のやり方じゃ世界は変わらないからな〜まあ世界を良い方向へ向かう為のやり方を探した訳だ。」

「悪い冗談だな。そいつが何をしたかわかってんのかよ!?」


この女はずっと皆んなを騙し平気で命を奪い手段を選ばない卑劣で最低な究極のエゴイストなんだぞ!!


「今はこの方が女王陛下だ。だったら強く可能性が高い方に着くのが通りだ!」

「レッドベリルが使えないお前じゃもはや世界は救えないからな」

「僕達は勝ち馬に乗ると決めただけですよ。ゲームでも当たり前でしょ。いわば引き抜きって奴ですね」

「引き抜き…」

「ネトゲでは良くあることだからな〜貰うもん貰ったら新しいチームに移るのは当たり前だからな〜」


ゲーム…またそれかよ…お前らは結局何も変わってなかったのかよ…俺達をずっと騙してたのかよ!!

のぶさん…アンタも…俺達をずっと騙して…ふざけんなよ…ふざけんな!ふざけんな!ふざけんな!ふざけんな!


「ふざけんなっ!!」


涼は泣き叫ぶと胸の宝石が割れると中から禍々しいく輝くレッドベリルを取り出した。


メタル・ニュークリア!


涼は変化した超宝救剣にメタル・ニュークリアデバイスから飛び出したレッドベリルをはめ込む。



「絶対に…許してたまるかーーー!!」


剣から銀色の液体が吹き出し涼の身体を覆い尽くすと赤くバチバチしたエネルギーが吹き出しドロドロの銀色の液体がメタルボディの装甲を作り出し涼に装着されていくと最後に血の涙を流し殺意剥き出しに4人を睨みつけた涼の顔が液体金属で覆われると次の瞬間赤い電流が身体から吹き出るとメタルレッドボディのホウキュウレッド・ニュークリアに変身した。


メタル・ニュークリア〜!


「な、何ですのアレは!?」


4人はマスクのスキャンシステムで涼の姿を調べると身体中から危険レベルの放射線が随時出ていてdangerと危険信号をたしている。


「身体中から放射線が放出されてる!?」

「アレがジュリアン皇帝が魔王から聞いた奴ですか!」

「アレは触れたら汚染されるんじゃないか!?」

「当たり前だ!俺達はともかく女王アンタは死ぬぞ居るだけで!!」

「は?どういう事ですの!?」


アイカは知らない原子力の恐ろしさを…ヌークリアイ=ウランである。


涼は右手を玉座に向けるとバチバチと赤いエネルギーが球体になり集まる。


和樹のヘルメットから涼が作り出したエネルギー体を分析した結果、城一つ吹っ飛ぶ規模のパワーと解析したdanger!danger!とエマージェーシーしている。


「まずいアレは核弾頭に匹敵してる!?」

「お前達、女王を連れて斑鳩へ飛ぶぞ!」

「「はい!」」

「ちょ!何ですの!?」


海斗はアイカを抱えて玉座の間の窓を突き破ると外へ飛び降りた。


「て、ここ何階だと思ってますの!?」

「心配するな!ホラきた!」


下ではなんとゴルーケンとプテラが待機していのだ。

5人は2体の宝石獣に乗り斑鳩へ飛んで行った。



「おいおい!何がどうなってんだよ!?」

「カイエンさん!これは一体!?」


玉座の間に来たリアとカイエンの目の前にあからさまにヤバイエネルギーを放とうとしている涼の姿と倒れているコハクがいた。


「メタル・ニュークリア!?どうしてまた!?」

「あの馬鹿!!リアはコハクを助けろ。俺は涼をぶん殴る!」

「わかりました!」


リアの背が高くなる。

獣人化したリアは背が高くなりスマートになりスタイルが良くなる。それだけではない。

リアは四つん這いになり凄い速さでコハクの元へ行き助け出すと玉座の間から出た。

カイエンは鎌を取り出した。

そして涼の後ろから鎌を振りかざした。


「この、馬鹿野郎!!」


死神の鎌で涼の魂をズタズタにした。


マスク越しで涼は口から泡を吹いて気が遠くなる。

するとエネルギーね球は消える。


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉりゃあぁぁぁぁぁぁぁ!」


カイエンはすかさず涼の剣から汚染されたレッド・ベリルを力ずくで外し投げ捨てた。

床に落ちたレッド・ベリルは消えると涼の身体から銀色の液体が流れ落ち中から血だらけで気絶した涼が出てきた。

カイエンは急いで涼の魂を修復した。


しかし、アイカは逃げてしまい。

4人の仲間は涼達を裏切りいつのまにか斑鳩に忠誠を誓い、敵になってしまった。






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