第113話 砂漠を甦れ!ホウキュウオーS

アリシアの助太刀により最悪の事態を回避した涼達は分かれて戦う。

涼はルビティラに飛び乗りプリズムで出来たコックピットへ転送されると宝救剣を台座に差し込みコントロールを得る。


「ルビティラ、何か考えがあるんだよな?」

「ああ、見て驚くなティラよ!」


ルビティラはそう言うと身体が赤く光ると身体をバラバラにした。

バラけたパーツが合わさり段々人型になって行く。

ルビティラの身体は人型に集まり頭は真ん中に合体する。両肩にくっついていたキャノン砲は両手になり拳が現れる。最後に頭と兜が作られ合体し尻尾が右手にくっついて合体完了した。


「な、あのルビーの宝石獣は1人で巨人にはなれないはずだ!」

「出来る様になったんですね」


ルビティラの事を知っているアッシュベルも驚く。


「うおーー!ルビティラ!お前人型に単独で成れる様になったのか!!」

「どうだ!驚いたかティラ!」

「ああ!良し名前はホウキュウオーS(シングル)だ!」


シングルってまんまじゃない。


「ルビティラちゃんいつの間ブラキオと同じ事が!?」

「レッドベリルの力だなきっと!」


そうルビティラはレッドベリルを取り込んだ事でパワーアップし単体で人型に合体出来る様になったのだ。


「なーによ!そんなの虚仮威しですわ!」


アイカは片翼のアイスドラゴンを向かわせる。


「酷い事をさせやがって…行くぜルビティラ!」

「オウティラ!」


ホウキュウオーSはアイスドラゴンに迎え撃つ。

しかし邪魔しようとする巨大化した兵士達。


「ケラ!」

邪魔はさせない!


「スティ!」

行きましょう!マリケラちゃん!


マリケラとスティラコが邪魔をする兵士達を蹴散らす為に向かって行く。


「サンキューお前達!くらえ!」


ホウキュウオーSはジャンプし上から炎を纏った蹴りをお見舞いする。


「ボルケニックキック!」


アイスドラゴンは熱に弱かったのか苦しそうな声を上げた。


「アイスドラゴン何してるのよ!!」

「貴女こそ命令するだけかい?」

「皇時也!だったら貴方が行きなさい!」

「本当に命令だけはたっしゃだな。機械仕掛けの魔獣(デウスエクスキメラ)!」


時也の指示でホウキュウオーを狙う機械仕掛けの魔獣。


「貴方の相手は私達よ!」

「サンドライトスピアー!」


ブラキオダイオウーは左の槍を機械仕掛けの魔獣に突き刺さし吹っ飛ばした。


「僕の最高傑作に何て事するんだ!!これだから異世界人は!!」

「それはこっちの台詞だわ!」

「我はあんな奴知らんぞ!」


そりゃブラキオが呼んだわけじゃないから当たり前だ。皇時也は魔人族側が召喚した危険な放火殺人犯だからだ。


「あーもう!数ばっかりいて!!」

「本当にキリがないですね!!」


アッシュベルが呼んだ兵士達と戦っているコハクと愛。しかし、数ばっかり増えて大した事無いはずだが次から次に増えて終わる気配がまるでない。いくらすぐ倒せても消耗戦はやはりきつかった。


「さて、いつまでもちますかね?」


兵士達を操り高みの見物をしているアッシュベル。


「あいつ高みの見物を!!」

「ドクターは自分からは戦いませんから」

「戦術と言って欲しいね!」


「それは違うでありまよ!兄様!!」


ん?ベルの声??


「今どっから来たんだ?」

「ていうか姫は何で上から落ちてきたんだティラ??」


確かに何で上からブラキオが落ちて来たんだ。

しかも、このアリソナ砂漠はガネットからそうとう離れた場所だ。

ルビティラ無しで馬車は弾けないからそうとうここまでかかるはずだ。


「その答えはアレよ!ベルちゃん!」


アリシアは機械仕掛けの魔獣を吹っ飛ばしブラキオダイオーに上空を指を指させた。

涼達は空を見上げると、雲の隙間から何か現れた。


あれは…何だ!?


現れたのは船首がティラノサウルスのピッカピカの宝石箱みたいなデカイ遊覧船みたいなスループ船だった。甲板の底には更に操縦席がありまるで気球みたいな所もある船だった。


「な、なんですのアレは!?」


アイカは突然現れた巨大な船に驚いた。


「空飛ぶ船!?」

「マジかよ!!」


空の彼方から声が聞こえてくる。


「みんなーー!助けに来たでありますよ!!」


ベルが甲板で舵を取りながらこちらへ向かってくる。


「ベル!ベルじゃないか!!」

「アレが言ってた船ティラか!?」


思わず戦いの手を止めてしまう一同。


「ちょ!空飛ぶ船なんて聞いてないぞ!!」


声を上げる皇時也。


「言ってないでありますから!!撃て!!」


空飛ぶ船の船首の口が開いた。

て、口開いたーー!!

開いた口から大砲が出てくるとエネルギーを貯めそして放つ。


コハク達に向かって。


「「何だと!?」」


2人は慌てて逃げるとエネルギー砲が地面に当たり周りにいた兵士達を皆吹っ飛ばし蹴散らした。

勿論場にいた2人も吹っ飛ばされた。

エネルギー波で地面が爆発し砂が捲き上ると機械仕掛けの魔獣に被る。


「ぷは!!」

「こら!ベル!僕達を殺す気か!!」

砂から這い出た2人。


コハクは通信宝石でベルに怒鳴りつけた。


「ごめんであります。猫ちゃんと愛ちゃん!」

「「どさくさに何を言ってんだ!!」」


2人は声を上げた。


「ファーリーヌめ…いつの間にあんな物を…」


「凄いわねアレ!」

「アレでまだ未完成とは思えないな」

「よそ見とは余裕だな!やれ!」


機械仕掛けの魔獣はブラキオダイオーに向かうが体かに自由が効かずぎこちない動きをした。


「何だ!?どうしたんだ!?」

「そうか!砂を被ったからだ!」

「ブリキだもんね!」

「ブリキじゃないわ!」


どっちでもいいわよ!


「決めるわよ!」

「よしきた!」


ブラキオは右肩のレールガンにエネルギーを貯める。しかも前より速い。


「ブラキオダイオー!アレキサンドロスバスター!」


ブラキオダイオーのレールガンから凄まじいエネルギーが放たれ動きが鈍い機械仕掛けの魔獣の右足を破壊した。


「ああーー!僕の傑作が!!」


皇時也は倒れた機械仕掛けの魔獣に駆け寄る。


「涼こっちは終わったわよ!」

「わかった!コハク、愛。終わったならこっちに来い!合体だ!!」

「わかった!」

「先生お願いします!」


2人は駆けつけた宝石獣に飛び乗るとプリズムで出来たコックピットへ転送される。


「「「宝石合体!」」」


3人はそう言うとマリケラとスティラコの体がバラバラになる。

2体の宝石獣は左右の腕に身体を構成し頭を鼓舞しにしたままマリケラは右にスティラコは左に合体した。ルビティラの腕になっていたキャノン砲は両足にマウントされ、尻尾は再び後ろへ合体した。

そして、コハクと愛も広くなったコックピットへ転送された。


「「「完成!ホウキュウオーS(サンシャイン)!ダブルバックラー!」」」


ホウキュウオーSは両手の盾恐竜の頭を軽く叩き構えた。


「盾が二枚で何が出来ますの!!」


忘れていたアイスドラゴンは口から冷気のブレスを吐き出す。

ホウキュウオーは両手の盾でそれを防いだ。


「硬い!」

「流石トリケラトプスとスティラコサウス!」

「盾も攻撃は出来るんだよ!!」


両手のマリケラとスティラコの口が開くとキャノン砲が飛び出す。


「食らえ!」


ホウキュウオーSは両手の大砲からキャノン砲を放ちアイスドラゴンのもう片方の翼を潰しもう一発はアイスドラゴンの右手を貫いた。


「グガァァァ!」


痛みで泣き叫ぶアイスドラゴン。


「何やってるのよ!この欠陥品!失敗作!寄せ集めの醜い怪物!」

「お前!人を弄ぶのも大概にしやがれ!!」

「人ですって?これはもう所詮は生ゴミですわ!さっさと処理しないよ!」


「テメェって女はっ!!」


涼は怒りを抑えられず声を上げた。

ホウキュウオーSは両手の大砲にエネルギーを貯める。


「皆さんの命…頂きます…必ず報いは晴らすから!!」


涙を流しながら涼は叫んだ。


「「「ホウキュウオーS!ダブルバスター!」」」


ホウキュウオーSの両手からキャノン砲が放たれアイスドラゴンに命中する。

アイスドラゴンは声を上げながら大爆発した。


ありがとう…

解放してくれて…

貴方達はヒーローだ…


「く…」


マスクの中で涙を流す涼。

また助けられなかった…涼は確かに聞こえた…

怪物にされた人達の感謝の言葉を…


そしてアイスドラゴンが倒された事で上空の寒気が消えると、ギラギラと熱い太陽が砂漠を照らし雪を溶かしていく。


砂漠の氷漬け事件はようやく幕を閉じた。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る