スーツアクターだった俺が異世界で戦隊始めました!

桐生連

第1話(改善版) 異世界でレッドにっ!?

遊園地のヒーローショー…誰もが一度は憧れた夢の場所。


俺もその一人だ、猿渡涼さわたりりょうはずっとヒーローに憧れていた。


親の反対を押し切り涼は小さいながらも事務所の養成所に通っている。


しかし、所属出来ずに成果無しではいつ切られるか解らない曖昧な現状だ。


契約の2年ももう直ぐ切れてしまう…


何度も特撮ヒーローになるために俳優のオーディションを受けるが落選ばかりでまるで叶わない。


現実は甘くない…仕方なく、俺は今…


「うわー」


遊園地のヒーローショーで敵兵士のスーツアクターのアルバイトをしていた。


「はぁ〜」


涼はため息を漏らす。


俳優にはなれずアルバイトじゃヒーローもやらせては貰えないこんな生活もう嫌になってきたな。


「おーいアルバイト。スーツを片付けておいてくれ」


「わかりました」


レッドをやっていたスーツアクターから着ていたスーツを預かる。


そうだ…もう辞めよう…でも最後に一度くらい…

涼はスーツを更衣室へ持って行き着替える。


「最後くらいはやりたかったレッドになりたい!」


涼はレッドのスーツを来た自分の姿を見る。

やっぱレッドかっこいいな〜俺も戦隊のレッドやりてー!

涼はそう思いながらスーツを脱ぎ更衣室を後にしようとした時だ。


見つけた…


ん?


頭から響き渡る謎の声…


「誰だ?誰かいるのか?」


涼は叫ぶが狭い更衣室に響くのは自分の声だけであった。


空耳か?


「ん?何だこれ?」


涼は赤く光る綺麗なガラス玉を拾う。


「ガラスかこれ?」


それは赤く光る丸いガラス玉の様な球体だ。

真ん中にダイヤモンドみたいな模様が刻まれている。


「小道具か?誰だよこんな所に落としていった従業員は?」


涼がそう言いながら着替えるとそのガラス玉を上着のポケットに仕舞い更衣室を跡にしようとドアノブを掴むと扉を開けた。


「うわぁっ!?」


眩い光が開けた先から降り注ぐ。

やがて光が止むと涼は目を開けた。 


「なんだ今のは…え!?」


目の前の光景は見慣れた遊園地ではなく、戦場だった。


「な、なんだこりゃーー!」


古い街並みで爆発が何度も起き、特撮で見るような同じ姿の西洋甲冑みたいな物を着た敵兵らしい奴が武器を片手に人を襲っている。


「な、なんかの撮影か?これ?」


おかしいな、撮影あるなんて聞いてないぞ俺は。


状況がまるで読めない…


敵兵が唸り声を上げながら涼に襲いかかって来た。


「て、おいおい!俺はエキストラじゃないよ!」


敵兵は武器で涼の顔面を叩く。


「うわっ!」


涼は吹っ飛ばされ地面に頭を打ち額から血を流す。


この痛みは芝居じゃない!?


え!?マジでコレ現実!!


「うわぁーー!」


涼は声を上げて全力疾走。


嘘だこれは夢だ夢だ!

涼はさっき出た扉に飛び込むが…


「あれ?」


そこは廃棄と化し荒らされた家の中で元の遊園地のヒーローショーのステージの裏の更衣室ではなかった。

涼は何度もドアを開け閉めするが廃棄の風景は変わらなかった。


「何だよこれ!」


涼は外に飛び出る。


敵兵はますます増えて周りの家を手当たり次第に壊しまくっている。

辺りには敵兵にやられた死んだ人や泣きながら逃げ回るり敵兵に斬られていく人々と泣き叫び長らく敵兵達から逃げ回る人々で溢れていた。


涼は目の前の光景が現実だということを痛感する。

涼は思わず目の前で胸を剣で貫かれた女性を目の当たりにし嘔吐してしまい地面に這いつくばる。


余りの恐怖に震えが止まらなくなる。


「夢なら覚めてくれ…」


テレビとはまるで違う…本当に人殺しをして回ってる。


「あははは!逃げろ逃げろ狩がいがある!」


うわー怪人まで出てきやがった。


その怪人はまるで恐竜の骨みたいな姿をしている口から火を放ちますますドラマのシーンだ。


勿論CGじゃない。


逃げなきゃ。でも何処へ??


パニクル頭を必死に使う涼。


「助けてー!」


逃げ遅れた子供がいたのか!

女の子は怪人のすぐ近くで泣き叫んでいる。


「ちょうどおやつの時間か!」


骨の怪人は少女を捕まえてしまう。

怪人は口を大きく開けて女の子を丸呑みにしようとしてる。


どうしよう、このままじゃ…俺はどうすれば…


恐怖に苛まれ過呼吸になる。


「助けてー!」


女の子は涙を流しながら必死に助けを求めている。

怪人は口を開けその子を食べようとする。


怖い怖いでも…


涼は過呼吸をねじ伏せると歯を食いしばる。


「うわぁぁぁ!」


涼は無我夢中で飛び出して怪人の腹にエルボをくらわせた。

怪人は突然の乱入に驚き少女を離した。


「うわっと!」


女の子を涼はすかさずキャッチして降ろした。


「早くにげろ!」


「うん」


涼は声を上げ女の子を下すと女の子は逃げる。


「貴様俺様のおやつを逃しやがって!」


「うるさい!人は食いもんじゃない!」


涼は正直何を言ってんだと思うが、何であれあのまま女の子を見殺しにしたら一生後悔するそう思うと体が動いた。


しかし足はガクガクに震えている。


「何だ貴様は?ただの馬鹿か?それとも大馬鹿か?」


「俺は…俺は…」


涼は大地を踏み鳴らす。


「ヒーローになりたいんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


声を天高く上げた時だった。


グラグラグラと地面が揺れた。


「地震か?」


怪人がそう言う。


「ウガァァァァァァァァァァァァ!」


と何かが雄叫びを上げ地面を貫き地割れから現れた。


「え?ティラノサウルス!」


地震が揺れると地割れが起きそこから全身赤く光輝く巨大な宝石で出来た体を持つティラノサウルスが出てきた。


「ほ、宝石獣ほうせきじゅう!」


「ウガァァァ!!」


宝石獣と呼ばれた巨大なティラノサウルスは雄叫びをあげながら周りの敵兵を蹴散らしこっちに向かってくる。


「こっちに来た!」


涼は逃げた。


宝石恐竜は大ジャンプし涼の目の前で着地した。着地と同時に地面が揺れると涼は尻餅をついた。


「ウガァァァ!」


赤いティラノサウルスは下を向き顔を涼に近づける。


「な、何だよ!?」


宝石恐竜の目が光ると涼が拾ったガラス玉も光り始め上着のポケットから飛び出した。


「な、何だよこれ?」


ガラス玉は宝石恐竜の目から放たれる光を浴びると赤い光を放ちながら砕け散り中から、鍔がなく代わりに丸い形の淵がある宝石で出来た剣に変わった。


「剣になった!」


「ウガァァァ!」


宝石恐竜は体から赤く光る宝石を作り出し涼に渡す。

渡された宝石は丸く加工された大きなルビーである。


「同じ形の窪みがある…まさかこれ!」


涼は確信したこれは間違いなく。

涼は窪みに渡された宝石を嵌め込んだ。


レッド!ザ!宝救武装!


剣から声が聞こえきた何か音楽まで聞こえて来たメロディが止む。この声特撮好きのあの声優そっくりだった!?


「このパターンに今の声、これは間違いなく…」


涼の顔から恐怖が消えて満面の笑顔と溢れるアドレナリンが爆発した。


そうこのシチュエーションは!!


「変身きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


涼は天高く雄叫びをあげる。


そして剣を天高く上げると叫ぶ…


「宝救武装ホウキュウチェンジ!」


涼は叫ぶと剣から赤い光が放たれる。涼の体を覆い尽くし粒子が赤い戦隊スーツになり宝石箱みたいなバックルが装着され。光輝く金の装飾が施され左上に赤い宝玉にその中に刻まれたダイヤモンドを噛み砕くTレックスのシルエットが付いた鎧とそしてティラノサウルスを模した宝石の様に光沢眩いヘルメットを装備した。


その姿は正に特撮ヒーローの主役であり主人公のレッドの姿である。


「うおぉぉぉ!変身したぁぁぁ!」


涼は声を上げる。


やっぱ変身アイテムだった。


「俺カッケェーーーーー!」


「な、何だ貴様は?」


何が何だか解らない骨怪人は指を指し聞いてきた。


「お、俺はえっと…?」


そういや今の俺ってなんなんだ??


「目障りな光り方をしてんじゃねーぞ!!」


「目障りだとっ!俺は情熱のルビー!ホウキュウレッド!」



ヤバイ今やってるヒーローショーの名前名乗っちゃった…だって似てんだもん。


「ホウキュウレッド!?何だそのふざけた名前に姿は!」


「ふざけてない!俺は1人だけど」


涼はカッコよくドラマのポーズを決める。


「宝石戦隊ホウキュウジャー!」


涼が名乗ると後ろから赤い花火が放たれた。


花火!?ますます特撮だなおい…どうなってんだ?


「ホウキュウジャー??馬鹿かお前はっ!やってしまえ!」


骨怪人はそう言うと兵士達を差し向けた。


「今やってるヒーローショーだ!馬鹿にすんなよ!」


涼は敵兵に突っ込む。


あれ?体か軽い!


涼はスーツアクターだった経験を生かして身軽に動き回る。

マスクに映る自分の姿の見取り図に先程変形した剣が映し出された。


名前は…


「宝救剣ホウキュウけん!」


涼は腰にホルダーに収まっている変化した剣を引き抜く。

ネーミングまで同じかよ…まあいいや!


「おら!」


宝救剣は軽くそして鋭い切れ味で簡単に敵兵を倒してしまう。

涼は交わしながらパンチやキックとアクションを決めるスーツアクターで鍛えた経験が役に立つ。


「すげーパワーだ!」


涼は次々と敵兵を倒し全滅させると、骨怪人へと向かう。


「後はおまえだ!」


「抜かせ!」


荒野にぶつかる2人。


骨怪人も骨の剣を出し応戦する!


宝救剣と骨の剣が激しくぶつかり合う。


涼は弾いては剣を叩き込むが骨怪人は硬い上に剣先が届きゃしない。

逆に骨怪人の剣に切り裂かれふっとばされる涼。

痛みはあるが大した痛さではなかった。

この鎧とスーツはダイヤモンドど同じ硬度で並の刃物はまるで貫通しないのだ。


「たくら、ラチがあかない!」


涼は一旦距離をとった。


涼の被っているヘルメットから何やらアイコンが出てきた。今度はゲーム要素か??


宝救剣の図面と宝石を組み込むと技が発動する事を知らせる。


宝救剣+ルビー=1カラットフィニッシュ


グリップ1回引く=必殺技


「これをやるのか!」


涼はベルトを開きそこからルビーを取り出すと宝救剣に自分の宝石をはめ込むと持ち手のグリップを引いた。すると剣が赤く光輝くとエネルギーが溜まっていく。


「な、なんだあのパワーは!?」


「行くぜ!」


涼は骨怪人から離れ高くジャンプする。


「宝救剣 !1(ファースト)カラットフィニッシュ!」


涼は宝救剣を勢いよく振り翳すと赤いティラノサウルスのエネルギーが飛び出し骨怪人に貫通させる。


うわーっ!この俺が、こんなふざけた奴に〜」


骨怪人は爆死した。


「勝ったー!」


涼は勝利のガッツポーズを決めた。



涼が骨怪人を倒した姿を見て攻め込まれ隠れていた村人達が顔を出す。


村の外れに豪華な装飾を施し漆で美しく塗られた馬車の中で涼を見つめる華やかな服装の少女。


「魔人族をあっさり…!?あの赤い殿方は!?」


少女はじっと涼を見つめると沈黙する。


「…出して!」


少女がそう言うと馬車が走り出す。

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