holder(ホルダー)
kopan
No.1 入学 上
「ねぇねぇ裕」
「ん?どうしたの?青空?」
「僕……能力者になりたい!」
ピッ、ピッ、ピッ、ピピッ、ピピッ
あぁもう朝か…
カチッ
この音とともに俺の1日は始まる。
「なんか昔のこと夢で見てた気がするんだけどなぁ」
「まぁいいや…支度しよ…。」
この世界にはホルダーと呼ばれる能力者がいる。俺はホルダーになりたいと昔は思っていた。
ホルダーになれるかなれないかは、親がホルダーかそうでないかによって決まる。
俺は後者だったた。
能力は努力では身につかない。
それが世界の原則だった…
そう、そのはずだったんだ……
俺は6歳の頃、事故に巻き込まれた。
たまたま地盤が緩んでいたところを、通った俺は崩落に巻き込まれた。
偶然といっていいのか、俺はなぜか助かった。
それまた偶然、周りには人がおらず、巻き込まれたのは俺だけで済んだ。
俺が落ちた先には、鉄塊が土の中に埋まっていた。その鉄塊に俺は触ったんだ…
でもそれは鉄塊じゃなかった。
鉄によく似た金属[フリーク]だったんだ。
フリークは能力を無能力者に与えることのできる金属だ。無能力者が触れることでフリークはその無能力者にランダムな能力を与える。
それに俺は触れ、ホルダーになれたんだ。
昔話はさておき、今日は高校の入学式で、幼馴染で親友の裕と行くことになっている。
俺は実質家に一人暮らしなんで、支度は全て俺がやるし、片付けも俺がやる。
手早く準備を済まし、裕を迎えに行く。といっても、家から5分くらいしかかからないけどな!
「ゆーたーかーくん!準備はできてるかい!?」
とインターホン越しにいう俺。
「今行くからちょいまち。」
「了解!」
1分もかからず裕は出てきた。
ネクタイにブレザーといったごくごく一般的な制服である。
「まだ結構時間あるけど、どうするの?」
「まぁ、早く着いちゃって大丈夫しょ!……多分…。」
「多分かよ…。まぁいいや。じゃぁ行こっか!」
2人は自転車に乗り、学校に着いた。
青空の家から、自転車で30分ほどのところにある公立の高校。安荘高校である。
入学式の前に、2人で学校内のコンビニに寄り、[カード]を買った。
[カード]は自分の能力の詳細は自分にしか見えない形で、文字として浮き出てくるという優れものである。
ただし、能力名や、自身の名前は他人にも見ることは可能である。
「青空ってば、能力が何か忘れたから[カード]買おうなんて……。普通覚えておくものでしょ?」
「すまんすまん。でもそんな俺に付き合うために、わざわざ一緒に買ってくれるなんて優しい奴め。」
「そんなのいいから早く見る!」
「はいはい。すんませんでしたぁ」
「裕のも見せてくれよ〜?」
「いいよ〜」
北里青空(ほんごうそら)
ホルダー
能力-変換 -理解
久野裕(くのゆたか)
ホルダー
能力-身体強化
「ほほぅ。覚えておかねば…。」
「でも、いつ見ても青空はすごいよなぁ。デュアルホルダーなんて、いいなぁ。」
「大したことないって!褒めても何もでねぇぞ!?」
「わかってるわかってる。」
「ほらもう10時になるよ?」
「あっいっけねぇ。早く行こうぜ?」
「うん!」
2人はそう言って入学式をやる体育館へ急いだ。
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