第16話 原付の旅(出発編)
小噺を一つ
この話は少し長い物になるし、ファニーというよりインタレスト
な話のつもりで聞いて欲しい
先に言っておくけど、この話に登場する俺は常に大真面目に考えて行動している
では、話を進めて行こう
あれはもう何年も前の話
俺は30になる前に、20代の内に何か思い出に
残るようなことがしたいと思い立ったんだ
幸いその頃はニートしてたから、時間は十分にあった
それで、考えに考えた末に決めたのが『原付の旅』だった
当時名古屋に住んでた俺は、時間だけは無限にあったから
どうせなら北海道に原付で行ったろうって考えたんだ
今考えると頭がおかしいの一言に尽きる
でも、考えついた当日の夜にはもう出発してたね
それも、中古で買って数年間乗りまわしたボロボロの原付で
途中でパンクしたり、壊れる可能性だって十分にあった
っていうより、そっちの可能性の方が高かったんじゃないかと思う
それでも断行したね。なんとかなるだろうって
一応原付持ってない人のために説明しとくと
原付って車みたいにロードサービスというものは無いし
自転車みたいにどこの店でも修理します、みたいな風習じゃないんだ
例えば原付を扱ってるレッドバロンとかに持って行ったとしても
買ったところで修理してもらって下さい、って言われて突き返されるんだよ
本当に保守的でクソみたいな文化が残ってるのが原付なんだ
その原付で長距離遠征なんて、今考えると正気を疑うようなことしてたな、俺
で、話を進めると、とりあえず出発したんさ、確か夜8時くらいだったかな
ちなみに時期は6月の頭くらいだったと思う
そうすると、まず何が起こったかと言うと、迷ったんさ、それもドチャクソ
最初の3時間くらいはずっと迷ってたと思う
もともとそんなに地理に詳しくない俺が、地図なんか一切見ずに走りだしたから
とにかく東京がどっちか分からないんだ
とりあえず道路の青い看板見ながら『東京↑』みたいなの探して行けばいいや
ってな感じで思ってたのと、唯一知識として『1号線』って道をひたすら
走れば東京に着くってことを知ってたから、その二つを頼りに走り出した
まあそんなことしたら、わけ分からん小道を走らされて、行き止まりにあって
とにかく迷いまくったね
で、とりあえず3時間くらい迷ってやっと『1号線』なる看板を見つけたんだ
これでひとまず安心、って思ってぶっ飛ばしてたら、次に起ったのが
ガス欠さ
次回(箱根の山越え編)に続く
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