第9話 終わりの始まり

「うっわ、キモイなぁコレ……」


 電話マークのアイコン部分。


 アイコン右上に表示された電話の着信履歴が、見たこともない数字を叩きだしていた。


 その数、3桁に及ぶ。


 一目で血の気がサァと引く。

 部屋の中もとても静かになった気がした。


「留守電入ってるな。36件も……」


「どうすんの?」


「こんなもん見せられて確認しないわけにはいかないだろ」


「まだ見るの? もうやめとけよ」


 隣でカンタが嫌な顔を浮かべてる。

 窓の隙間から部屋へ侵入してきた蜘蛛でも見つけた時の、恐ろしさや気持ち悪さが入り混じった表情だ。



「ちょっとなら平気だろ」


 俺はカンタを言い包め、1番古いメッセージを再生させた。





 6月19日 16時15分。

 メッセージを再生します。


 録音されたメッセージは、軽薄な男の声であった。


 さっき電話をかけてきた男のものだ。


『あ、もしもし? 俺だ、タカシだ』


「こっちもタカシかよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る