塩田と言う男

中学時代、塩田と言う男がいた。

あれは中学2年生の時・・・校庭の隅に、半分壊れかけて使われなくなった古いバスケットボールの移動式ゴールがあった。

ある日の昼休み、塩田と同級生数人はそのゴールからボードとリングを取り外し、教室の後ろの壁の天井付近に釘で打ちつけた。

教室の壁なので勿論、通常のゴールの高さより全然低い。

そうなるとまあ、中学生が何をするかは誰もが容易に想像出来るであろう。

案の定、塩田はダンクシュートを試みた。

走り、跳び上がり、ダンクシュート。

ボールをゴールに入れたまでは良かったのだが、その後、塩田はNBAよろしく、リングを掴んでゴールにぶら下がろうとした。

刹那、塩田はゴールを打ち付けてある壁と、そこに通ずる天井を破壊しながらゴールごと床に落下した。

怪我は無かったが教室の後ろの壁と天井の一部が崩れて無くなってしまった。

当然その話はクラス内だけで無く、他クラスでもそれなりに話題になった。塩田はそれに気を良くしたのか、事あるごとに「ダンクで天井を落とした塩田でーす。」みたいな発言をしだした。

最初はまあそれなりにウケていたのだが、壁が補修され、1週間もすると皆そんな事は飽きてしまい、完全に過去のどうでもよい事になってしまった。


しかしながら・・・


塩田はそこから卒業までの1年以上、本当に何かある度に「ダンクで天井を落とした塩田でーす。」と言っていた。誰も相手にしなくなっているのは塩田以外誰の目にも明らかだったが、塩田本人はいつまでも自分が皆の話題の中心人物だと思っていたのであろう。

卒業文集にまで「高校では天井を落とさないようにしまーす(笑)」とか書いていた。


一方その頃、僕は放課後の駐輪場で自転車を取りに来た下級生のガールちゃん達に下半身を露出してました(^^)

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