偶然

夏樹は何してるだろう。

夏樹が来てから数日経ちこの事しか考えられない。

今家で夏樹が何してるのか、どうしてるのか。

心配で堪らない。

なぜか、わからない。

この思いは何だろう。

今まで感じた事のないもの。

ふとある事を思い出した。

昔お母さんが俺に言っていた言葉。

「親ってのは子供がどこで何してるのか、心配なんだ。いくつになっても変わらない。興味が無くなる事なんてあり得ないのだから」

その言葉は今の俺によく響く。

多分夏樹にも。

ん?

って事は、この気持ちは母性って事か?

確かにそんなきがしてきた。

あいつの事が心配なのは俺があいつに母性を抱いてるからなのか。

なんとなくだけど心のもやが晴れた。

そんな事を考えてるうちに一日は終わった。

うちの学校は木曜日は毎週半日授業で、すぐに帰れる。

冷蔵庫には何も入ってないし作り置きもしてない。

夏樹は腹を空かしているだろう。

コンビニに寄って行くか。

財布の中を確認すると千円札が何枚か確認できた。

2人分は余裕だな。

「おーい、りゅーた!学食いこうぜ!」

笹原はいつもどおり学食に誘ってきた。

いつもなら行ってるが、

「ごめん、今日用事あるんだ。また今度な」

「おう、また今度っ」

こっちに手を振りそのまま食堂の方へ向かって行った。

さてと、机の横のリュックを背負い俺はいつもより若干早く歩きながら学校を出た。

俺の家は学校の近くから出てるバスに乗れば10分程でつく距離にある。

バス停から俺のうちまでは徒歩30歩と行ったところ。

だが今日はいつもよりも一つ手前で降り一番近くのコンビニに向かう事にした。

三回建のの俺の住んでるアパートはこのコンビニからも良く見える。

ここのコンビニは良く来るのだが、毎回軽く昼食を買う程度だ。

俺はここにきたらいつも買う牛塩カルビ弁当を買い物かごに入れ、同じやつをもう一つ買う。

夏樹って甘いもの好きかな。

パフェかクレープか迷うな。

最近のコンビニスイーツは良く出来てる。

どれも美味いし安い。

弁当買ったついでに食べるのはちょうどいい。

俺は悩んだ結果パフェに手を伸ばすと、別の人と同時に取ってしまった。

「ど、どうぞっ」

コミュ障といったところかめちゃめちゃ同様してしまった。

そしてその人の顔を見ると良く知ってるやつがいた。

「夏樹」

「隆太……さん」

フードを深く被り俯いていて良く気がつかなかったが夏樹だったのか。

夏樹との約束を思い出し小声で喋る。

「って夏樹約束が違うぞ。外出時の約束あっただろ」

「えぇ確かにありましたね。でもその条件を言ってみなさいな」

何この上から目線。

腹たつわ〜。

えっーと確か。

「フードの付いた服とサングラス。あとマスク」

「そっちの方が怪しいですし逆に目立ってばれるでしょうが」

確かに。

たまに頭いいのではと、思わせてくるのだが実際どうなんだろ。

バカなのか。

「最近気づいたんですが思ったより隆太さんお馬鹿ですよね」

こいつはまた心をよんだかの様に俺の堪に触る事を言ってくる。

「ほう、例えば?」

「まず今日の事」

確かにこれはちょっとずさんだったかな。

でもそんなもんでは?

「あと私に一千万の賞金がかかった時言わない様にしてたのにもかかわらず言ってしまいましたよね。大体はこの2点ですが他にも小さなミスは結構あるでしょ。完全に私よりお馬鹿」

なんか涙出てきそう。

そして持っていたデザートはうざ買ったから買わないで一番嫌いだって言ってたレバニラ弁当を買った。



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