#135:不要な(あるいは、キンゴブポップ)

 互いのチームの最初の着手が終了し、評点では惜しくも負けたものの、何とか装置の移動は無く終わることが出来た。丸男の超防御力はやはり馬鹿に出来ない。そして、


 <2nd指名者:タメイド:着手>


 ディスプレイにはそう表示が。ふ、と軽く息をつくと、伊達と言われてた細いフレームの眼鏡を、ピンと立てた指四本で軽く押し上げたりと、随分もったいをつけてからタメイドはDEPを放った。


「……女性を自分の部屋に招く時、私はイランイランのアロマで部屋を官能的な香りで満たします。自然に高まる感情。抑えきれずに溢れる欲望。そう、そこに言葉は要らん要らん、なのです」


 ……こいつの脳が沸いてんじゃあないか的小噺も健在のようで。


 <タメイド:35,299pt:グー>


 しかしなかなかの評点。採点者も頭沸いてるのと違う? いやいや、そんなこと思っちゃ駄目駄目。ふと気付いたが、ここまで3人すべてがグー。やっぱりチョキは警戒対象だよねー、と納得しかけるが、僕がそういう考えに至るということは、その裏もかきやすいということでは? ここは自分の着手番だというのに、全くの余裕面のアオナギに期待だ。


 <2nd被指名者:アオナギ:着手>


 さあ、ぶちかましてくださいっ!!


「……ガキの時分は、『大人になったら警察官になりたい』って、割とガチに考えてた。今となっちゃあ夢物語だが、何の因果か、最近、警察の世話になることが多いんだな、これが」


 うーん、またもや難解、そしてダメせつなはぁぁぁぁい。


 <アオナギ:34,012pt:パー>


 よし!! マニアや玄人の票を集めたのだろうか、タメイドに匹敵する評点、そしてやはり勝負師、きっちり相手の出し手を読んだ!! ここでの属性勝ちを得られたのは大きすぎるっ!!


「15,719ボルティック相当の属性パーが!! タメイドにブーストだっゴアヘっ!!」


 桜田さんの合図と共に、タメイドの後ろの阿修羅像くんが不気味な笑みで接近してくる……っ!! その中段左手がぐぐいと後ろに振りかぶられっ……!!


「ポォォォォォウっ!!」


 臀部への強烈にしなるビンタを受けて、タメイドは不思議な一声を発しながら一瞬腰を浮かすものの、すぐさま座り直した。何というか想定内でしたよ的な動作……うーん、意外にこいつ、場馴れしてる。


 <タメイド残り:97345ミリ>


 与えられたダメージは微々たるものだったが、勢いは俄然こっちにある!! 次の着手は僕だ。ここはもう行くしかないっ!! 出し惜しみはしない……初っ端から全力でかますのみっ!!


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