散文集

石嶺 経

始まりの詩

 草木の一つも無い

 水たまりの一つも無い

 まるで無味乾燥な土地に

 私は裸で立っていた

 どこが前やら 南やら

 足の間からは血が出ていたが

 それすら泥に塗れて良くわからなくなった


 痛みも無い

 目標も無い

 私は一人きり  

 あの頂を目指した

 天まで届く針の山

 谷間には風が吹いていた

 ああ 吹いていた

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