第73話
ヴィオラが出ていくのをぼーっと見送り、目の前の魔法陣に目を向ける
「これ…どうしよっか」
そう思っていると
フェルが入ってきた
『ん?カミラちゃんどういう状況かしら?』
そう聞いてきたので説明した
「………ってことで」
『じゃあ私とカエデに魔力くれないかしら?』
まさかの提案だった
確かに召喚術で呼び出しているため魔力の塊と言っても過言ではないので魔力を渡せばその分長く留まれる
…がフェルとカエデは召喚してから魔力切れを起こしていない
理由はカミラもわかっている
召喚時に魔力の与えすぎでこちらに存在を固定できるようになったためだ
ただカミラは当たり前の事が気になった
「これ以上魔力あげたらどうなるの?」
誰もが気になることだ
『そうねぇ…どちらか片方に全部だと壊れちゃうかもしれないけど、半分ずつなら進化ぐらいはするんじゃないかしら』
進化?
あの?強くなるやつ?
ちょっと…いやだいぶ気になる
「やってみようか」
そういうととフェルはカエデを呼んでくるといって飛び出していった
*****
待つこと数分
『お待たせしんした』
カエデとフェルがきた
「早速だけどやろうか」
両方一気にやることにしたので魔法陣の中に入ってもらう
ただここからは錬金術の魔法陣なので融合しないように調節しないといけない
「それじゃあやるよ。意識だけはしっかり保っていてね」
そういい集中する
片方の意識が無くなったら意識がある方に取り込まれてしまう可能性が高い
目を瞑りカエデとフェルに魔法陣を通して魔力を送る
(慎重に…慎重に…)
この世界でここまで慎重に事を行うのは初めてではないだろうか
どのぐらいの時間をかけたのだろうか
1日?2日?それとも5日?
本当は20分程だがそれほど集中し、意識下では時間が引き伸ばされていた
額は汗で濡れている
ふっと、カエデ達の方を見る
そこに居たのは形はカエデとフェルなのだが明らかに違うものになっていた
カエデは赤い紋のようなものが浮き出ており、綺麗でかつ畏怖するような凄みがあるものになっている
そして、額にはもう1つ目が増えていた
今は閉じているが明らかに目であることがわかった
フェルは元々、白銀だった毛並みに黄金のメッシュが入っており、手足には引きちぎられたかのような鎖がついていた
そして、しっぽが二股になっている
『あぁぁ!しっぽが複数あるのは専売特許でありんしたのに!』
とカエデ
『ふふっ、これからは貴方だけじゃないのよ』とフェル
性格は変わってないのは分かるが、明らかに魔力量がおかしい
渡した魔力は確かに多かったが2匹の魔力は数倍にも引き上げられていた
「カエデもフェルも渡した魔力より強くなってない?」
『確かにつよ〜くなりんしたが、これでも身体の進化にだいぶ使われんしたよ?
量より質、濃さが良すぎるんでありんすよ主様』
『カミラちゃんのは濃厚と言っても足りないぐらい濃いのよ』
フェルの言い方がちょっとえっちぃ…
「まだ学園に行ってないからわかんないけど、確かに王様とかよりは濃いのは分かるけど、自分の魔力って感じにくいんだよねぇ」
『多分でありんすが…』
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