05

 どうしてあなたはいつもそうなの? 勝手に部活も辞めてしまって、お母さんには一言もなしで。お兄ちゃんならそんなこと絶対しなかった。あのね、体力づくりっていうのは受験にもとても重要だし、同じ年ごろの友達と切磋琢磨するのもとっても意味のあることなの。あなたにはまだわからないかもしれないけど、そんな機会今だけなんだから。お母さんはあなたのためを思って言ってるの。今ならまだ間に合う。顧問の先生にきちんと事情をお話して、戻れるようにお願いしなさい。なにもかも、嫌なことから逃げられると思ったら大間違いなんだから。今逃げる子は、大人になってもきっとなにもかもすぐ投げ出してしまう。子どもの頃から鍛えておかないと、なんにもできないし、なんにもなれないよ。


 お父さんからも何か言ってやってください。私の言うことなんか全然聞きやしないんだから。


 もう、ねぇちょっと、あなたがそんなんだから晴樹がこういう風になるんです。たくみのときはあんなに熱心だったのに、二人目となった途端見向きもしないんだから。世話だってなんだって一から十まで全部私が。ちょっと、どこ行くの。まだ話は終わってないからね。帰ってきたらちゃんと話し合いましょう。

 あなた! ねぇ!! ちょっと、聞いてるの!!!





 はぁ。

 もういい。お母さん頭痛くなってきた。あんたの顔見てるだけで嫌になる。何が楽しくて生きてるの? 部活もしないでゲームにネットばっかり。体動かしなさいよ若いんだから。それが嫌なら勉強しなさいよ。ちょっとは兄を超えてやろうとか、そういう気概はないの? しゃんとしなさいよ! あんたがそんなんだから周りに舐められるんでしょう! 部活辞めたのだってそもそも……。


 もう、お母さん恥ずかしい。近所の人に顔向けできないでしょう。

 



 



 いやんなるわ、ほんとに。

 匠が家にいてくれたときは、こうじゃなかったのに。

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