137話 語ルシス

 俺達は、付近に落ちていた倒木を見付け、そこで今夜過ごすことに決めた。


 適当に枯れ葉等を集め、N2達をそこで寝かせる。

 大して変わらないけど、地べたで寝るより幾分かマシだろう。


 N2とラズを拘束していた黒いアメーバは、チェルノボーグが倒された後に溶けて無くなったが、ピノと同じく二人がまだ起きる気配はない。


 軽い食事の用意と念のための周囲の安全確認をしてから、気を利かせたスヴァローグが倒木の近くに火を焚き始めたところでようやく準備万端となった。



「で、いったい何を話すんだ?」

「そりゃあ少年、君のことを根掘り葉掘り……といきたいところだが、状況はあまり芳しくない。君達の今後について話し合っておかねばと思ってな。君と私が今こうしていられるのは、ほんの偶然に過ぎない。このまま無鉄砲に進んでいたら、命がいくつあっても足りないぞ」


「いや、それはありがたいけど……だってお前さっき、俺のことを知りたいって……」


「もちろん本心ではあるよ。けど少年、つっけんどんな先程の君に、『これからどうするつもりだ?』なんて聞いてみろ。君の警戒心は余計に増し、話し合いどころではなかったはずだ。そうだろう?」


 それは……たしかにそうかもしれない……。


「まぁそんなことはさて置きだ。ふむ……そうだな、初めに君の誤解を解かなければだな。そのためにはまず、この星と我々の存在意義、そしてそこで眠っているアーティファクト達について説明せねばなるまい」


「誤解……?」


「そう、誤解だ。君は私に対して大きな誤解をしている。まぁとにかく聞け、少年」


 意味深に一呼吸を置くスヴァローグ。

 揺らめく焚火を黒い体に写し、ゆっくりと言葉を口にする。



「約800年前、この星に4体のアーティファクトが幽閉された。その防衛システムとして、我々は命を受けたのだ。当初は__」

「あはは、なんだ、急に昔話か? …………え、マジなやつ?」


 コクコクと頷くスヴァローグは、まさに黙って聞いていろと言わんばかりの表情をしている。


「当初は各々が独立して担当の作業を行っていたが、やがて月日が経ち、互いに協力するようになった。その時に結成されたのが我々『Officer six』だ」

「オフィサーシックス……6体……つまりお前みたいなのがあと3人もいるのか……」

「さよう。残っているのは還元のダジボーグ。気候のストリボーグ。そして機構のペルーン。この3人が発端となり、君はこの星へ招かれたんだ」

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