大野志保はわからない前編

「、、、、正しい、呼吸でなければ通り抜けること能わず

正しい呼吸とは――腹式呼吸じゃ」

 皆鼻から吸って吐くに切り替える

「では、もう一つ」

心に響く声が問う

「すったいきを全身の臓腑に巡らせる想像をせよ

 まるで、日の光が体の中を駆け巡るように

吐くときは体の中の悪感情を吐き出すように

それがーー正しき呼吸じゃ」

 そして次の扉を開く

「善と悪、平和と戦争ーこれらは相反する二つの極でできておる

どちらかに傾けば、必ず反転する

では、問おう

 自分にとっての正義が誰かの罪だとするならひとはどうしたらよいか?」

それは志保に向けられた問

しかし答えられない、わからない

 「、、時間切れじゃ答えはそれらをくぐり向けた先にある

一つの幸福領域じやーーそれは「全であり善であり当たり前にあるも永遠に変わらぬものじゃ」

それこそが答え

世界は初めもなく終わりもない――決して変わらぬ、壊れもせず、増えもせず、へりもしない、だから終わらない

それ

「ではつぎのといじゃ

最も柔らかいものほど強い意味はなんじゃ」

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