100メートル走の宿敵

第12幕100メートル走の宿敵

体育祭の予行練習が始まって三日目

瞬斗「みんな、こんばんは。今日は個人種目と学年種目の練習だよな!」

共助「こんばんは。そうだな。みんな無理の無いように頑張ってくれ。俺は今日も見学だからさ」

広「こんばんはー。私は借り物競争の予行練習に出る」

瑠偉「こんばんは。瞬斗君。僕は50メートル走に出るよ。いいタイムを出して、足も早い組に入りたいな。頑張っている姿を母さんと弟に見せてあげたい」

波奈「こんばんは。瞬斗君。アタシは学年種目と全体種目のダンスだけだから、今日は学年種目だけの練習になるわね」

瞬斗「オレは100メートル走だぜ。勇気出してリレーの選手にも立候補したかったけど、今年はまだ1年だし100メートル走だけでいいかなって。それにそっちの方が集中出来ると思ったんだ」

広「瞬斗、勇気ないーハハハッ」

広は瞬斗を指さし、小馬鹿にするように笑った。

瞬斗「なにをー!よし!じゃあ今日の100メートル走から体育祭本番の100メートル走まで、全て1位になって全勝してみせるからな!見とけ!広!」

瞬斗は広にガッツポーズをして気合を見せた。

広「じゃあ楽しみにしている」

波奈「まあまあ、個人種目も大事だから熱くなるのは、分かるけど、1年生の学年種目の台風の目も頑張らないとアタシ達紅組に点数入らないわよ」

波奈は場の空気をなだめるように言った。

瑠偉「波奈ちゃんの言う通りだ」

瑠偉はうなずきながら波奈の言葉に賛同した。

          ・

キーンコーンカーンコーン

共助「ホームルームのチャイムだ。みんな席に着こうぜ」

生徒「気をつけ、礼」

生徒一同「よろしくお願いします」

先生「今日は学年種目の台風の目の予行練習と個人種目の予行練習です。グラウンドで行うので、グラウンドにこのあと向かって下さい。台風の目をしたあと個人種目に移ります。個人種目に出ない生徒は見学になります。個人種目に出る生徒は各自担当の先生がいるので、その先生の指示に従って動いて下さい。以上です」

生徒「気をつけ、礼」

生徒一同「ありがとうございました」

瞬斗「行くぞーみんなー」

広「うん」

瑠偉「行こうか」

共助「行くけど、俺は見学~」

波奈「行こうっ」

          ・

1学年の学年種目台風の目を終えて個人種目に移る生徒達。

波奈「今日はどっちの組みもいい勝負したねー!」

広「そうだねー!本番が楽しみー!」

先生「ここから見学する生徒は見学席に行けよー」

先生「50メートル走に出る生徒はこっちに集まってー」

先生「100メートル走に出る生徒はこっちに来てくれー」

先生「リレーはこっちだぞー」

先生「ビーチフラッグに出る生徒はこっちに集まってー」

先生「異種目な感じの借り物競争に出る生徒はこっちに来てー」

生徒「ガヤガヤザワザワ」

先生「はーい静かにー!まずは50メートル走からタイムを計ってチーム分けをします。タイムによっては体育祭本番まで変わらない走順の人もいます。練習だからって手を抜かないように!それじゃあ50メートル走以外は一旦、見学席に移って!」

生徒「ガヤガヤザワザワ」

先生「喋らず早く移動しろー!」

          ・

放送係「第1走者…。第2走者…。第3走者…。第4走者…。それでは位置についてよーい」

パンッとスタートの合図の銃声が響いた。

そろそろ僕の番だ。宮本瑠偉、頑張るぞー!

1位取れるかな?本番でもないのにドキドキして来た。僕ならいいタイムを出せるはずだ。

放送係「第3走者宮本瑠偉君」

瑠偉は手を上げた。

放送係「第4走者…」

放送係「それでは位置について、よーい」

パンッとスタートの合図の銃声が響いた。

タッタッタッタッ

瑠偉を含め50メートルを4人が走る。

2人抜いたけどこのままだと2位だ。瞬斗君も100メートル走で1位を目指しているんだ。僕も1位になってみせる!

風を切り疾走する瑠偉。ゴールテープを切ったのは、瑠偉の前にいた生徒だった。瑠偉は50メートル走の予行練習は2位だった。

          ・

そして50メートル走のタイムの計測が終わり、数チームメンバーが変わったが、瑠偉のチームは変わりなかった。その後100メートル走のタイム計測に変わった。

放送係「第1走者…。第2走者…。第3走者…。第4走者…。位置についてよーい」

パンッとスタートの合図の銃声が響いた

そろそろオレの番か…。広にも1位を取るって約束したし、なによりもここで1位を取れば波奈ちゃんにカッコいいところを見せられる。やってみせるぜ。渋谷瞬斗。オレならやれる。

放送係「第2走者渋谷瞬斗君第3走者…。第4走者…。位置についてよーい」

パンッとスタートの合図の銃声が響いた。

タッタッタッタッ

瞬斗を含めて4人が走り始めた。

いい調子だ。このまま1位はオレのもの…

ぬっ抜かされた!?ヤバイ。あと半分ぐらいだ。白組の生徒だ。負けられない。もっと勢いをつけるぞ!

タッタッタッタッ

よし!抜き返した!このまま1位だ!しかしあおの白組の生徒は注意しないと抜かされかねないな。1位で勝利する為には、あの生徒との勝負になりそうだ。

瞬斗は1位でゴールテープを切った。

          ・

こうして体育祭予行練習三日目が終わった。

共助「みんなお疲れ様。瞬斗はヒヤヒヤしたけど有言実行したな。瑠偉は惜しかったな。もう少しで1位だったな。あとは広も波奈ちゃんも頑張っていたな!」

瑠偉「体育祭本番は1位になりたいな」

瞬斗「いやー、あの生徒はオレの中で宿敵だわ。負けないように、明日からダッシュの特訓をするぜ!」

広「借り物競争楽しかった。体育祭本番も楽しみたいなぁ」

波奈「台風の目は楽しかったなぁ。体育祭本番がたのしみだわ。それと瑠偉君と瞬斗君カッコよかったよ」

瑠偉「ありがとう波奈ちゃん」

瞬斗「ありがとう!波奈ちゃん!オレ体育祭本番も、それまでも頑張るから!」

共助「じゃあ帰ろうぜ!」

瞬斗「おう!」

よっしゃー!波奈ちゃんにカッコよかったって言ってもらえた!超嬉しい!惚れてくれたかな?まだ思い上がっちゃいけないな。でも好きな波奈ちゃんにカッコよかったなんて言われると、もうもっとメロメロですわ

           ・

そうして体育祭本番まで予行練習の準備期間を過ごし、瞬斗は100メートル走の宿敵と接戦を毎回繰り広げ、なんとか特訓の成果もあり1位を死守していた。組体操などの他の種目も形となり、ついに体育祭前夜

瞬斗(ついに明日が体育祭本番か…。久しぶりに昼間に学校に行くなぁ。さあ寝よう明日は土曜日。家族の応援の為にも頑張りたいけど、やっぱり好きな波奈ちゃんの為に紅組を勝利に導いてみせる)

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