第74話 心の剣騎士

「うわあああー!?」

「さらばだ。シデン。俺の毒で死ねることを誇りに思うがいい。」

 雷の剣騎士シデンの体を、毒の剣騎士ソコナの毒が黒く染めていく。

「勝手に殺さないでもらえるかな?」

「なに!? バカな!? おまえの体は俺の毒に侵されているはず!? なぜ動けるんだ!?」

 毒に侵されているはずのシデンが立ち上がった。

「ボディ・エレクトロニクス。自分の体に電気を流し込み、おまえの毒を焼き払ったのだ。」

「何という男だ!? さらにシデンの雷の剣気が膨れ上がっていく!?」

 シデンは自分の雷の剣気を高めていく。

「ソコナ、おまえの毒は存分に味合わせてもらった。今度は私の雷を、思う存分にくらうがいい。いでよ! サンダーバード!」

「ギャオオオオー!」

 雷の精霊サンダーバードが現れて、シデンの体に新たな剣騎士の鎧を身に着けていく。

「そのソード・ナイト・アーマーは!?」

「雷の精霊サンダーバードの剣騎士の鎧だ。雷鳥の一撃を受けるがいい。」

 シデンは、剣を構え必殺技の構えをする。

「くらえ! 稲妻! 雷光雷鳴! サンダーバード・ソード・スラッシュ!」

「ギャアアア!?」

 シデンの必殺の一撃がソコナを倒す。

「恐ろしい相手だった。毒の剣騎士ソコナ。どうやら、おまえの毒が今頃、効いてきたようだ。」

 戦いに勝利したシデンも、全身に回ったソコナの毒によって、その場に倒れ込んでしまう。


「ウスイ!? ヒジリ!? おまえたちどうしたんだよ!?」

 イビル・キャッスルの王の間で待っていたのは、邪悪なる者デカノーホウトではなく、姫の剣騎士、水の剣騎士ウスイと聖の剣騎士ヒジリだった。

「違う。今の私は邪悪なる海竜レヴィアタンの剣騎士だ。見ろ。この素晴らしいレヴィアタンの剣騎士の鎧を。ワッハッハー!」

「私も聖闇ホーリーダークの剣騎士だ。聖なるだけでなく、私は闇の力も扱えるようになったのだ。ワッハッハー!」

「ダメだ!? 二人とも強力な剣騎士の鎧に心を奪われている!?」

 ウスイもヒジリも強い剣騎士の鎧に正気を失っていた。

「デカノーホウト!? 奴はいったいどこにいる!? あいつを倒して二人を正気に戻すんだ!」

「残念だな。デカノーホウト様は、ここにはいない。」

「なに?」

「今頃は、プリンセス・キャッスルで姫と結婚式を行っているはずだ。」

「なんだって!?」

 救世主様は、初めてデカノーホウトがイビル・キャッスルにいないことを知った。

「直ぐに姫の元へ帰らなくては!」

「行かせないぞ! 救世主様!」

「どいてくれ! おまえたちも姫を守る剣騎士だろうが!」

「悪いが、今は邪悪なるお方にお仕えする剣騎士だ。」

 姫の元へ向おうとする救世主様をウスイとヒジリが邪魔をする。

「死んでください! 救世主様! 邪悪なる海竜の津波! ビック・ウェーブ!」

「もう終わりです! 聖と闇の競演! スカレッド・ダークネス!」

「うわあああー!?」

 ウスイとヒジリの強烈な必殺技が救世主様を襲う。

「誰だ!? おまえは!?」

「我々の必殺技が効かなかったというのか!?」

 必殺技が消えた後に、救世主の前に盾のように立つ剣騎士がいた。

「心の剣騎士シン。」

「心お兄様!?」

 窮地の救世主様を救ったのは、兄の心であった。

 つつく。

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