第66話 これが伝説の剣騎士の実力

「いくぞ! 邪悪なる者! 聖なる五芒星よ! 光り輝け! ホーリー・ライト!」

「おまえの穢れを洗い流してやる! 降り続け! アシッドレイン!」

 聖の剣騎士ヒジリと、水の剣騎士ウスイの必殺技が、邪悪なる者となった伝説の剣騎士デカノーホウトを襲う。

「なに!?」

「そんなバカな!?」

 ヒジリの放った聖なる光は、闇の光に変えられて、ウスイの降らせた雨は、逆流して天に戻っていく。

「姫の剣騎士とは、こんなにも弱いのだな。それとも私が強くなりすぎたのか?」

 デカノーホウトは、剣騎士二人を相手にしても微動だにしなかった。

「不味いな。こんな奴を姫様の元に行かせる訳にはいかない。ウスイ、こいつの相手は私がするから、おまえは救世主様の後を追って、デカノーホウトの本当の狙いを救世主様に伝えるんだ。」

「ヒジリ!? おまえ死ぬ気か!?」

「敵に潜入した時点で死は覚悟していた。気にするな。それよりも、この邪悪なる者を倒すことができるのは、闇を晴らす伝説の者、救世主様しかいない。頼んだぞ。ウスイ。」

「分かった。また会おう。ヒジリ。」

 ウスイは、ヒジリにデカノーホウトの相手を任せて、奥に進んだ救世主様の後を追おうとする。

「行かせるものか!」

「邪魔はさせない! 我が命と引き換えだ! 聖なる光の円柱よ! 五本立ち並び、聖なる五芒星を描け! ファイブ・ホーリー!」

 自分の限界の生命エネルギーでヒジリは、光の円柱を五本同時に発生させ五点にして、聖なる五芒星を描いて、デカノーホウトを聖なる光の五芒星に閉じ込める。

「これでどうだ!」

「何かしたのかな?」

「な、なんだと!?」

 しかし、デカノーホウトは聖なる五芒星の中を歩いて、聖なる光の円柱から出てくる。

「私は、一度は、この世界を救った伝説の剣騎士。聖なる光など、私に効く訳がない。」

「そ、そんな。」

 力尽きたヒジリは、意識を失い地面に倒れ込んでしまう。

「そういえば鼠が、もう一匹いたな。グラビティ。」

 デカノーホウトは、重力を支配し、救世主様を呼びに行ったウスイを引き戻す。

「うわあああー!? 体が勝手に引き戻される!?」

「戻ってきたか。」

「ヒジリ!? これはいったい!?」

 ウスイは、ヒジリが倒されている姿を目にする。

「ウスイ。おまえの欲しがっていた強い剣騎士の鎧を与えよう。」

「なに!?」

「いでよ! 邪悪なる海竜! レヴィアタンのソード・ナイト・アーマーよ!」

 どこからか渦潮が現れ、中から黒光りした海竜の剣騎士の鎧が現れる。

「あれが海竜の剣騎士の鎧!?」

「ウスイ。おまえにくれてやる。」

「うわあああー!?」

 邪悪なる海竜の剣騎士の鎧がウスイに装着していく。

「海竜レヴィアタンの剣騎士ウスイ。大いなるデカノーホウト様に忠誠を誓います。」

「それでいい。」

 邪悪なる海竜の剣騎士の鎧を身にまとったウスイは、闇に洗脳されてしまった。

「ん? このまま死なせるのは惜しい。リバイブ。」

 デカノーホウトは死体のヒジリを生き返らせる。

「ヒジリ。おまえには闇の力を与えよう。」

 聖の剣騎士に闇の力が混じっていく。そして、ヒジリは目覚めた。

「聖闇ホーリーダークの剣騎士ヒジリ。偉大なるデカノーホウト様に忠誠を誓います。」

 ヒジリも闇の力に洗脳されてしまった。デカノーホウトは、ヒジリとウスイを邪悪な剣騎士に変えてしまった。

「おまえたちは、イビル・キャッスルの王の間で救世主様がくるのを待っているがいい。」

「はあ。」

「今まで待たしてしまって申し訳ないので、私は姫の元へ行く。」

 デカノーホウトは、ミキ姫のいるプリンセス・キャッスルに向かうのであった。

 つづく。

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