第19話 感知
「待ってろ! 姫! 俺が必ず助けてみせる!」
救世主様は、悪夢に支配された姫の救出に向かう。
「なんだ? やけに風が強くなってきたな。まるで嵐がやってくるみたいだ!?」
「ウインド・ストーム!」
「うわあ!?」
救世主様は、突風に吹き飛ばされる。
「これぐらいの風で吹き飛ばされるとは、救世主様とは名ばかりですね。」
「いたたたたっ。不意打ちしておいて、よく言うな! おまえは何者だ!?」
「私は風の剣騎士ハヤテ。姫を護衛する剣騎士だ。」
現れたのは、風の剣騎士のハヤテ。
「姫を守るのが仕事なら、俺じゃなくて、姫を操っている悪夢の剣騎士と戦えばいいだろう!」
「大切な姫を人質に取られているんだ! 堂々と反抗したら、姫の命が危ないかもしれないだろう!」
「なんだよ。結局、カエンも、ウスイも、ヒムロも姫が何者かに操られていると知っているのか。」
「そうだ。だから我々は救世主様に姫の救出を託して死んでいくのだ。」
「なんて愚かな考え方だ。」
「何とでも言え! 私は救世主様が自分の思いを託せる相手なのか、また姫を助け出してくれる相手なのかを見極めるだけよ。」
「なら、もう一度、俺にウインド・ストームを撃ってこい。」
「なに?」
「一度見た、おまえの突風は、もう俺には効かない。」
「おもしろい。救世主様の実力がどれほどのものか、見せてもらおうか! ウインド・ストーム!」
「ハヤテ! おまえに教えてやる! この世界では、剣が全て、剣が最強! おまえの風は、俺の剣技には敵わないのだ! ソード・ウインド!」
「なに!? 私の風がかき消されただと!?」
ハヤテの突風を救世主様は剣圧で吹き飛ばす。
「どうだ? これで俺の実力が分かっただろう。俺は必ず姫を助ける。だからハヤテ、一緒に姫を助けに行こう。」
「それはできません。」
「なんだと!? ハヤテ、おまえもウスイやヒムロの様に、あくまで戦うことを選ぶというのか!?」
「違います。風向きが変わりました。招かざる客が来たようです。」
「え?」
「フッフッフ。よくぞ気づいた。風の剣騎士よ。」
「嫌な風ですね。何者です? あなたは?」
「俺は闇の剣騎士クライ。悪夢の剣騎士が早く姫を連れてこないから、あのお方が直々に姫をもらいにやって来られた。」
「あのお方!?」
「俺は邪魔になりそうな剣騎士を葬るためにやって来たのだ。」
闇の剣騎士クライの目的は、剣騎士の抹殺だった。
「救世主様は、先に姫の元へ。こいつの相手は私がします。」
「おっと、誰一人として、あのお方の元へは行かせないぜ。」
「それはどうかな? 風よ吹け! そして全てを吹き飛ばせ! ウインド・ソード・スラッシュ!」
「そんな風、闇の中を吹く強風に比べれば、無風も同じよ! ダーク・ソード・スラッシュ!」
互いの必殺技がぶつかり合う。
「早く! 行って下さい!」
「そんな!? おまえを置いていくなんて!? そうだ! 二人で戦えば、闇の剣騎士ぐらい倒せるはずだ!?」
「私を無駄死にする気か!」
「ハヤテ!?」
「救世主様! 姫を頼みましたよ!」
風の剣騎士ハヤテの決意が救世主様に伝わる。
「分かった。必ず姫は助ける。死ぬなよ。ハヤテ。」
「ありがとう。救世主様。」
救世主様は先を急ぐのだった。
つづく。
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