第42話(料理を作っている途中)

 そんなわけで、アオイの手料理を僕達はご馳走になる事になった僕。

 ヒナタ姫たちを除いてみんなで屋敷に来ることになった。

 もし機会があればヒナタ姫たちともこういった風に、みんな出て料理を作って楽しむのもいいかもしれない。


 そんな話をしながらアオイの家に向かった。

 やってきたアオイの住んでいるのは、蒼い屋根と木組みが印象的な、普通っぽい家だった。

 親は現在、地方で仕事をしていてアオイはリンと一緒に暮らしているらしい。


 親公認だそうだ。

 そういえばリンは女神様と知り合いのようだけれどいったいどんな関係なのか詳しく聞いていなかった気がする。

 そのうち聞いてみようと思う。


 またアオイの家は、そこそこ大きな家なのでユナが泊まる部屋もあるそうだ。

 先にその部屋をユナは案内してもらっていた。

 そんな家に案内されて、椅子に座っていてと言われた僕達は椅子に座っていた。


 けれどリンとユナがアオイの手伝いに行ってしまい、楽しそうに話しながら何かを作っている。

 見ていた僕は、ユナの得意料理、切って盛って味付けするだけ! “雪トマトのカプレーゼ”が出てくる予感がした。

 単純ではあるけれど、“雪トマト”の新鮮さと風味を味わうには一番おいしい食べ方だと思っているので、それはそれで僕は楽しみだったりする。


 そんな僕達は、ソファーに座っていた。

 僕達というのは、僕とミナトと魔女エーデルである。

 女の子達が楽しそうに料理を作っているのを見ながら、僕は魔女エーデルに聞いてみた。


「エーデルさんは、料理しないのですか?」

「……料理は購入して食べる物よ。そもそも女神の妹である私は、力がお姉ちゃんに封じられているとはいえ、そんな物を必要としていないの」

「あの、食べなくてもいいのに何で食べるんですか?」

「美味しいからよ」


 どうやら味覚はあるらしい。

 そして美味しいものを食べるのは好きらしい。

 でも運動と言っていたから太ったりはする、らしい?


 よく分からないけれどそうなのか~と、深く考えるのを僕はやめた。

 そう思っているとそこで僕は、嬉しそうなミナトの様子に気付いた。


「ミナト、何だか嬉しそうだね」

「女の子の手料理が嬉しくない男はいません!」

「ユナも料理は上手いから、楽しみだね」

「そうなのか! 家だと魔法的な自動料理機の開発やったり、買いに行くのが面倒だったり食べに行くのが面倒だから保存食を狩ってきておいて、同じものばかり食べていたからな」

「あれ? お母さんは?」

「……地方に父と母と妹の三人で仕事に行っていて、シカタガナインダ」


 視線をそらしながら、ミナトが言う。

 どうやら親のいない間に 好き勝手やっているらしい。

 そしてその食生活は、よく一人暮らしを男性がすると食生活が悲しいことになってしまうアレであるらしい。


 そこには特に突っ込まず、相変わらず幸せそうに女の子達を見ているミナトを放置してから、僕は魔女エーデルに、


「エーデルさん、ちょっとした疑問があるのですが」

「何かしら」

「僕達が色々な物をとりに行くとそこに、賞金がかかった彼らがいるのですが」

「偶然だと思うけれど……でも、そうね。私が欲しいあの石も、今回は彼らは狙っていたみたいだし。……私が必要としている物と同じ物を欲しがっているとか?」

「そういえば何が作れるのですか?」

「うーん、私が知っている範囲では“悠久の立方体エターナル・キューブ”というちょっと特殊な物が出来るの」

「その名前は前に聞いた様な。それって他の別の目的に使えないんですか?」

「うーん、指向性がついた、ただのエネルギーの塊の様なものだからね。普通に使うなら強力な呪い解除とかそういった物にしか使えないはずなんだけれど……新しい概念やら何やらの影響で違った物は出来てくるかもね」


 そんな気楽そうに言う魔女エーデルにミナトがそこで、顔から血の気が引いたように真っ青になりながら、


「あの、“悠久の立方体エターナル・キューブ”って、昔から取り扱いの難しい危険な爆弾の様な物だったはずですが」

「まともに扱えないし作れない人間が失敗するのよ。私なら平気だわ。……そういういざというときのとか難しいのは失敗しないのよね」


 ミナトに強気に言い返す魔女エーデル。

 でも魔女エーデルはよく魔法を失敗すると言っていた気がしたが、僕は沈黙した。

 そこで、ユナ達が出来あがった料理を持ってきたのだった。




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