第40話(あ、忘れていた)

 さて、幼馴染のユナに散々胸を揉まれた魔女エーデルは涙目になって、


「む、胸を大きくするには“お肉”を食べればいいのよ!」

「! そうなんですか! 分かりました!」


 といった会話でそれが収まった。

 ユナは真剣に、お肉を食べて胸を大きくすると呟いている。

 そういった事件? があったものの、僕たちはいつまでもここにいても仕方がないため、僕達はユナも含めて僕達は“ミタタ滝”の向かった。


 幸せそうに倒れているミナトをとりあえずは揺さぶって起こして、その場所から土のむき出しの道を歩く事、十五分。

 村ではそろそろ“雪トマト”の最後の収穫をしようかという話になっていたらしい。

 このスコップは役に立つだろうかと僕は考えたが、用途が違う気がした。


 と、そこでで、ユナが僕の背負っているスコップを見ながら聞いてきた。


「それで伝説の女神様がくれた“万能スコップ”ってその背中に背負っているそれ?」

「そうだよ。掘ると魔石やら何やらがほとんど必ず出てくるし、防御用の棒として敵を叩いてもいいし、しかも人間を叩くと、殺さずに改心して善良な人になっちゃうらしい」

「……微妙に嫌な効果な気がするけれど、なるほど。このスコップ使って見せてよ」

「何で?」


 そこで僕はユナにそう答える。

 説明したからいいかなと僕は思ったのだけれど……。

 するとユナが嘆息して、


「何処からどう見てもユウトの家の納屋にあったスコップにしか見えないから」

「う、それは……女神様がそれに似せて作ったらしくて。あ!」


 そこには水色のスライムが現れた。

 やはり歩いているとこういった魔物に遭遇する。

 そのヌルヌルぶよぶよのゼリー状のそれは、僕達の前に現れてぴょんと跳ねる。


 よし、また打ち返すかとスコップを構えた所で、


「とりゃあああああ」


 大声を上げながらユナが蹴りを繰り出す。

 飛び上がったスライムはユナの足に打ち当たる。

 がごんと大きな音を立てて、スライムは空高く飛び上がり星になった。


「ふうっ、さあ、行きましょうか」


 ユナがいい笑顔で僕達にそういう。

 そういえばユナは、道具を使わずにスライムを蹴り飛ばしていた。

 魔女エーデルは、そろそろ突っ込む気力がなくなったのか、それともユナの頭を旗国になれなかったのか何もせずにいた。


 それは置いておくとして、そういえばユナは何だかんだ言って、うちの村の中では強い方だった気がする。

 強い人達ばかり集まって僕は自分の出番がない様な気がした。

 そんな悩みが僕の中に生まれるけれどそこで、


「“ミタタ滝”についたわよ」


 周りの空気が涼しくて心地よいその場所についたのだった。











 ここも都市近郊の観光地らしい。

 というわけでここの滝周辺の山に転がっている石、“プロテアメルト”という青い石を探しに行く。

 ここにごくまれだがその鉱物があるらしい。


 そしていつものように山の管理費となる入場料を入り口で取られて山の中に。

 ここからもう少し歩くと滝が下から眺められるらしいのだが、目的は滝ではないので別の場所に向かう(らしい)。

 魔女エーデルの案内でそうなった。

 道としては滝を上から眺めるコースだが、目的は石なので、途中にあった細い獣道をいく。


 歩きながらぽつぽつとある石ころだらけの広場のような場所を通り抜けていく。

 ここに入ってすぐ、魔女エーデルがコンパスの様な物を取り出して、方向を見ていた。

 どうやら彼女はそれに従って動いているようだ。


 これは魔法ではなく道具で探しているらしい。

 試しに理由を聞くと、この方がもっと正確に場所が分かるそうだ。

 途中魔物に遭う事もなく、やがてある窪地にやってきて。


「この辺りにあるはずだから、青い石があったら教えて」

「「「「はーい」」」」


 というわけで、探し始めた僕達だがなかなか見つからない。

 そばにあった木の棒で細かな石をかき分けてみるけれど、全体として色は灰色をしたものばかりだった。

 どうやら貴重な石であるらしいから、見つけるのは困難なのだろうと僕は思って探しているとそこでユナが、


「ここでそのスコップを使えばいいんじゃない?」

「それもそうだな。忘れていた」


 何処からともなく、酷いわ~という女神様の声が聞こえたが僕は聞こえなかった事にした。

 やがて僕が穴を掘りだし、土はいまだ見えず細かな石ばかりをのけてと頑張っていると、そこでカツンと何かに当たる。

 この時に魔石やらないやらが出てくるんだよなと僕は思いながら、更に掘っていくと、


「青い石が出てきましたがこれは?」

「それね」


 脱力するように魔女エーデルが呟いく。

 そこである人物が現れたのだった。


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