第24話 そろったよん

「宿名君、通路の出口にファイアーウォールを、縦に。それと、魔法の詠唱を」

「紫苑さん、ヒーリングの用意を。陽斗君、茜さん、敵を少しずつ引っ張って」


紫苑と宿名が指示を出す。

少しずつ釣り、少しずつ処理する作戦だ。

尚、悪質なものだと、敵がリンク属性、というものが設定されていて、一体に攻撃すると、全員が向かってくる。


「挑発!」


ウォリアーのスキル。

後衛に向かう敵を引きつけるのにも使えるが、こういう場面で敵を少しずつおびき寄せるのにも使う。


少しずつおびきよせ、確実に処理。

モンハウは、危な気なく処理できた。


「なんとかなったな」


俺が言うと、


「みんなが指示に従ってくれたお陰だ。ああいう場面でも、無駄に突っ込んで、結果全滅するPTは凄く多い」


宿名が溜息交じりに言う。


「あるあるです・・・突っ込んでそのまま即死して・・・後衛のメイジに魔物の群れ流してくる前衛、良くいますよね」


紫苑が呪詛を吐き出す。

何だか黒いぞ。


何時もより良いドロップが得られ、最後には宝箱も出た。

・・・無事、解錠にも成功。


少し回り道する事で、元の道に合流。

今回はこれで探索を切り上げ、地上に向かう。


無事、拠点へと戻り、


「お疲れ様」


俺が言うと、


「お疲れ様っす、みなさん。なかなか息があったPTだったっす」


茜が嬉しそうに言う。


「俺も、こんな楽しいPTは久しぶりだ。だんじょんぶ、だったか。良ければ入れて欲しい」


宿名が言う。

計画通り・・・だけどまあ、嬉しいな。


「有り難う、歓迎するよ、宿名君」


俺は素直にそう言った。


「宿名君もようやくその気になってくれましたね、良かったです。これで4人、ですね」


紫苑が、微笑んで言う。

・・・紫苑も入ってくれるのか?

君、同好会に入るの嫌がってたよね?

まあ、流しておく。


入手したアイテムは適当に分配し・・・俺の取り分は多めにしてくれているようだ。


++++++++++++++++++++++++++

名前:朱智あけち陽斗はると

クラス:ウォリアー

レベル:11→15

STR:20→26

DEX:16→20

AGI:20→24

VIT:22→26

MND:10→11

MAG:9→10

ボーナス : 0

霊素適合率:84%

権限:SUB SYSADM

特異スキル:

 エーテルチャージ

 ・総経験値の10%を消費する

 ・攻撃力が2倍になる

 ・防御力を無視する

 エーテルシールド

 ・総経験値の10%を消費する

 ・攻撃を1回無効化する

装備:

 ベースユニット(エアタンク)

  種別:

   エアタンク

  ジュエルスロット:

   ダイヤモンド(2)

   オパール(6)

   アメジスト(12)

 蒼天牙

  種別:

   斧

  インゴットスロット:

   銀のインゴット(15)

   空き(5)

  ジュエルスロット:

   空き(3)

 ベースユニット(ウェア)

  種別:

   ウェア

  インゴットスロット:

   銀のインゴット(15)

   空き(5)

  ジュエルスロット:

   空き(3)

 ベースユニット(バックユニット)

  ジュエルスロット:

   アメジスト(20)

 ベースユニット(アミュレット)

  ジュエルスロット

   空き(3)

++++++++++++++++++++++++++


アメジストは結構出る。

効果付きのジュエルは一切出ていないが、まあ、低級階層ならこんなもんだろう。

銀のインゴットも結構出る。

重いので、空きスロットを残している。

できれば、ミスリルが欲しい。


レベルはまだ15・・・先は長い。

結構早い方らしいが。


「低レベルにしては、良い物が出たな。レベルも、驚く程上がったよ。流石に、高難易度ダンジョンや、パブリックダンジョン程では無いが」


宿名が嬉しそうに言う。

元は高レベルのダイバーだったんだろうな。


「陽斗君、デフォルト見た目のまま使っている装備が多そうだけど・・・何か見た目つけないんですか?」


「一応、良さそうなのが無いか毎回チェックはしているんだが。なかなか巡り会わないな。まあ気長にやるよ」


流石に花柄や、フルプレートだけではないが。

それでも、何かこう、ぴんと来ないのだ。


「ショップに行ってみるのも良いかもしれないな。明日行ってみるか?」


宿名が尋ねる。


「ショップ?」


俺が問い返すと、


「知らないのですか?集めたリソースを消費して、ポーションや見た目装備を売ってくれる店です。この近くだと・・・2駅向こうにありますよ」


何でオンラインゲーム内アイテムを、リアル店舗が売ってるんだ?

ゲーム内からアクセスさせてくれよ・・・


「そこでPTをマッチングして、即席PTで潜る人も多い。ダイバー達が集まる場所になっている」


宿名が言う。

なるほど。

交流の場になっているのか。


では、


「ログアウトしようか」


俺はみんなに告げ、ログアウト・・・


・・・


外は既に暗くなっていて、時計の針は10時を指している。

無論、夜の22時だ。


・・・


「しまった」


俺は呆然と呟いた。

紫苑も、宿名も、やってしまった、という顔をしている。

茜だけ脳天気だ。

1人暮らしは良いなあ。

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