第5話 あった
「そんなに情報って出回ってないんすかね?結構当たり前に情報溢れてると思ってたっす」
茜がこちらを向き、小首を傾げる。
「大丈夫だ。本体が手が届く、というのは想定外だったが、他の情報はバッチリだ。情報が出る度に集め、資料収集・・・むしろ博士と言っても過言じゃないくらいの知識量だ」
「っすかね〜」
疑わしそうな目で俺を見たあと、くるりと前を向き、歩みを再開。
さて・・・いよいよか・・・
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データ保存用デバイス、ダイバーリングは、普通におもちゃ屋に積んであった。
1つ購入。
部活経由ならこれも無料になるのだが。
俺は今やりたいんだ。
ダイバーリングは、指輪の形状をしている。
それに、サングラスの様なデバイスがついてくる。
HMD、ヘッドマウントディスプレイだろう。
此処に映像を映すのだ。
俺もHMDは持っているが、異常に軽い。
映像は外部入力、バッテリーも外部だろうか?
こんなところまで次世代って感じだ。
本体は、茜のものを借りる。
「これが・・・DDSのデバイス・・・」
夢にまで見た品・・・もっとも、具体的にどんな物かは情報が無かったので、初めて見たんだが。
くすり
茜が笑う。
「先輩、子供みたいっすよ」
「俺はまだ子供だ」
言い返しにもならないが、とりあえず言っておく。
そのままの足で、茜の家に向かう・・・親がいない女の子の家・・・しかも彼女・・・実は凄い状況なんじゃないかとは思うが、考えない様にする。
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茜のマンションは、一般的な集合マンション。
ファミリータイプの一般的なものだ。
「さっきも言ったけど、私は此処で一人暮らししてるっす。良ければ先輩も一緒に住んでくれて良いっすよ」
「・・・叔父さんや伯母さんに言い訳がつかんし、親にちくられるわ」
・・・前言撤回。
一人暮らしで3LDKとか、広すぎるだろう。
「ちょっとソファーで腰掛けてて下さいね。制服から着替えちゃうっす」
「・・・ああ、分かった」
俺も気楽な私服に着替えたいが、自宅では無いので叶わぬ願いだ。
「・・・え、ひょっとして着替えるところ覗きたいっすか?仕方ないっすね」
「言ってねえ」
見たいけど。
「無理する必要無いと思うんすけどね。先輩のいやらしい視線、嫌いじゃないっすよ」
バレてる?!
いや、だって、勝手に目が行くんだもん・・・
「とっとと着替えてきてくれ。早くDDSをやりたいからな」
平常心、平常心。
「はーい」
茜が部屋に消える。
とりあえず、部屋にはたこ焼き器らしき物が見えた。
やっぱりあるじゃないか。
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