オープニング

【HO1】前半

朝のHRが始まる随分前に教室に来てしまった君は、寝るには足りない眠気と微妙な退屈を持て余している。


「どーんだYO!」

急に背中を叩かれる!

「おっはー! 今日はめっちゃ早いねえ!」

そこにいたのはクラスメイトの日向 葵。

元気と笑顔と明るさを捏ねて作られたような人間である。

「眠そうだねえ! あっははは!!」

「元気と笑顔は世界を救うからね! にゃはははっ!!」

「今日も1日笑顔で行こうぜぇ~? じゃ、私日直だから! まったね~!」


【PC3】

定時連絡の時間だ。

君はUGN連絡用のメールフォルダを開き、受信メールを確認する。

やはりメールは来ていない。

パトロール任務に就かせていた君の部下、茉莉 花が定時連絡を欠いたのはこれで三日目になる。

電話にも応答はなし。

何かあったに違いない、そう判断した君は捜索班を結成することにした。


放課後、PC1,PC2を捜索班結成の為に呼び出す。


※茉莉 花について

学生エージェントでPC1,2と同じ学校。

ただしクラスは別で面識は任せる。


【PC1】後半

捜索班結成の日の翌日、学校の休み時間。


「浮かない顔してんねー! へいへい!」

日向が声を掛けてくる。

「あんまし元気ないかー? それならコイツをあげようじゃあるまいか!」

「はい、どーぞ!」

手渡されたのは、大きめの一粒の種。

「これはねー、笑顔の種だよ!」

「皆が笑顔になって幸せになるきっかけになるんだ! ………たぶん?」

「お守りみたいなものだよ、好きにしてねー! 達者でなぁ!」

嵐のように彼女は過ぎ去り、次の授業の始まりを告げるチャイムが鳴る──。


【PC2】

君の隣の席、教室の隅に座る海堂 秋は陰気な少年だ。休み時間は「感情の理論」「血清とワクチンの原理」「植物交配の歴史」などど小難しい本ばかり読んでいる。

捜索班結成の翌日の放課後に教室に忘れ物を取りに戻った君は、海堂がいることに気づく。

いつものごとく本を読み耽っていると思いきや、珍しく本を机に置いたまま、手にした何かを夕日に溶かすようにして眺めていた──。

「──何の用だ?」

「これか? ただの種だ。日向だっけ、あのうるさい女子に押し付けられただけさ。」

「───なあ、お前──」

「笑顔の本質は何だと思う?」

「俺に答えがある訳じゃない。単に人の意見を知りたかっただけだ。」

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