第86話 種明かし

「そういえば・・・」

 一言呟くと、灯とエリスが此方を向いた。

「俺と一緒に居て、幸せになれた?」

 今更な事が口をついて出た。

「はあ・・・」

 灯が呆れ気味にため息を付いた。

「先ずエリスちゃんに抱き着いて下さい。」

「ん?」

 言われるままにエリスを抱き寄せる。

「魔力の流れを感じて下さい。」

 言われた通りに魔力の流れを感じる、魔力操作自体あまりやって居ないのでやりにくいが、魔力の流れは見つかった、ん?俺とエリス経由で灯に流れてる?

 その流れを意識したと同時に、感情が流れ込んできた。

(バレた?焦る、でも抱き着かれて嬉しい・・・)

「これって?」

 愚問だとは思うが、確認する。

「エリスちゃんが私達に逢った時に使ってた翻訳用の魔力パス、未だに繋がったままです。」

「未だ繋がってたのか・・・」

「むしろ未だ気が付かなかった事に驚き半分、呆れ半分です。」

 灯がジト目でこちらを見ている。エリスが少し焦った様子で身をよじるが、其処まで強い抵抗では無いのでそのまま抱きしめて居ると大人しくなった。

「この魔力パス、言葉を翻訳するんじゃなくて、魔力でお互いの意識を馴染ませて、表層の思考と感情を読んで意思疎通するんです、つまり、言葉に出さなくても読まれてます。」

「うわあ・・・」

 今更の種明かしである。

「最初の頃はこのパスかなり太かったんですけど、喋れるようになってからは細くなりました、でも細いけど繋がったままです。」

 そういえば、初夜の時にやたらと嬉しいって感情がこっちに逆流してたな。

「因みに、お互いパスを意識すれば筒抜けです。隠し事が意味を成しません。細くなってからは意識しないと読めませんけどね。」

 腕の中のエリスから流れてくる思考と感情は、バレたバレたと抱き着かれて嬉しいだけだ。

「で、そのエリスちゃんから流れて来る思考と感情に、私たち嫌いが含まれてますか?」

「むしろ嬉しいと好きしか流れてこない。」

「そう言う事です、好感度最大です、其処からこっちのパス意識すれば私のも読めるので、試して見れば良いです。」

(鈍いですねえ。)

「鈍いって・・」

「表層なので慣れればこんな感じに誤魔化せます。」

 どやあと言う得意げな様子で胸を張って居る。

「なるほど、じゃあ、灯、好きだぞ。」

(私もです)

 そのまま声も出さずに思考で返事が帰って来た。というか、素直に返すのか。

「そう言う事です、ほら、エリスちゃんがすねますので。」

(私にも言って欲しい)

 と、流れ込んでくる。

「エリス、愛してるぞ。」

「はい。」

 エリスが強く抱き着いて来る。

「其れだけ好かれてて一緒に居られるんだから、最初の質問は愚問だって自覚してださい。」

「ごもっとも。すまん。」

「私側としても割と悪くないと感じてます。当人はどうです?」

 愛し気にお腹を撫でている。最近若干だがお腹が膨らんで来たのが見て取れる、エリスは未だ外から確認出来るほどでは無い。

「果報者だと思う。」

「なら問題無いですね。」

 灯がくすりと笑う。

「因みに、喉元で飲み込んだ言葉とかほぼ読まれてると思ってください。」

「うわあ・・・」

「こっちに来てから和尚さんむっつりスケベじゃなくオープンスケベ何で、言うほどキャラ違いませんから、ご安心下さい。」

「それはそれで問題ありだな。」

 流石に恥ずかしい。

「取り繕わなくて好感度MAXなんですから、ここは喜ぶ所です。」

「ありがとう。」

「どういたしまして。さあて、私らの好感度確認したら、ヤル事は一つですよね?」

 灯が笑みを浮かべてしな垂れかかって来る。

「えっと、喜んで受けて立つが、程々に頼む。」

「先に私たちを限界まで倒せれば良いのです。」

「そんなに技術無いの知ってるだろ、ゆっくりといちゃつく方向で頼む。」

「はいはい、のんびりイチャコラしますよ。」

 エリスもやる気になったのか目を輝かして怪しい手つきを始めていた。


 此処から先は向こうで書けたらでお願いします。

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