第54話 エリス視点 初夜
「ご飯できましたよ」
義母の声が夢うつつな耳に響いた。
先に起きたらしい和尚さんが起こそうと揺すって来る、それでもなかなか体が出来上がらない。
「二人とも起きないとキスするぞ?」
その言葉に思わずびっくりして一気に覚醒するが、これはそのまま動かずに待っていた方が美味しいと言う物だろうか?
そんな葛藤をしているうちに、和尚さんの唇が重なった、嬉しい。
「これで良いか?」
「見事なセクハラです、毎回これで良いですよ?」
待っていた様子で笑いながら灯さんが身を起こす。
「はい、もっとやってもいいですよ?」
同じく、私も笑いながら起き上がった。これは嬉しい、顔がにやける。
「そこまで毎回やってると有難味が減らないか?」
和尚さんがこの時点では有難味の無い一般論を唱える。
「そういうのは飽きてからでいいんです」
灯さんがその意見を切って捨てた、その通りだ。
「そうです、飽きるまでは毎日やりましょう」
力強く同意する。
「はいよ、多数決で負けたので従います」
つまり灯さんと結託すれば和尚さんは言う事を聞いてくれると言う事だなと、灯さんとアイコンタクトを取ると、灯さんがにやりと笑った、よし。
「ご飯できたらしいからとっとと行くぞ」
「「はーい」」
食卓はほぼ出来上がり、何時もより豪華な夕食が並んでいた、スープの具がほぼ精力剤なのはそう言う事だろう。
「「「「乾杯」」」」
義父の乾杯の音頭で、食事が始まった。
久しぶりの義母の食事は、美味しかった。
「お風呂もありますけど入ります?」
和尚さんをお風呂に誘う。義母が頑張れと言った様子でアイコンタクトをしてくる、分かってる。
灯さんはつぶれてしまったようだ、大人しくテーブルに突っ伏して眠っている。
「こいつ運んだら入らせてもらう」
和尚さんは軽々と灯さんを抱えて持ち上げる。その運ばれ方も良いなあと思う。
「それじゃあ準備してますね、お風呂はそっちの一番奥の部屋です」
そう言って、準備をする為に自分の部屋に戻った。
出来る限り奇麗な服を着て、誘惑しなければ。
着替えているときに、自分の身体が傷だらけだったことに気が付いた。傷ついて直ぐの傷は治療術である程度治るが、古傷となった傷跡は治らない。こんな傷だらけの身体で和尚さんは喜んでくれるのだろうか?
昨日見た、灯さんの身体は暗い中で見たが、傷一つ無く、奇麗だった、私もああ成りたかったが、無い物ねだりをしてもしょうがないと、気持ちを切り替えて、部屋を出た。
「エリスー?」
和尚さんが私を呼んだ。
「お呼びです?」
返事をして近くによる、恥ずかしいので部屋の明かりを暗くしていたので、私が見えなかったらしく、びっくりしていた。
「すまんが入り方の説明頼む、何をどうやったらいいのかわからん」
確かに初めてでは難しいだろう。
「はい、じゃあ説明しますね?」
一通り説明した、分かりにくかったかもしれないが、今は私が先にお湯を入れているし、しばらくは一緒に入るので大丈夫だろう。
「さて、一緒に入るか?」
答えは判って居るという様子で和尚さんが確認する。
「むしろこの状態で私が部屋に戻れる流れ有ると思います?」
当然無い。
「無いな、焚きつけられてるだろ?」
和尚さんは最近から知っていた様子で確認する。
「正解です」
「今日の料理も酒も、俺の地元でも大体精力剤扱いされてる食材だったし」
「よくわかりますね?」
「お義母上怖いな?」
それは確かだ。
「お義父さんはとっても困った顔してましたが、お義母さんの方が強いので」
怪我した時の乱戦で最後まで義父を庇って最前線に留まったらしいので、それ以来頭が上がらないらしい。
「どこでもそんなもんか」
そんな事を言いながら和尚さんが服を脱ぐ、いよいよとなって、心臓がどくどくと早鐘を打つ。
「そういや湯舟の周りって水びだしにしてもいいのか?」
緊張をほぐすためか、和尚さんが小さい事を言う。
「この部屋は水びだしにしても大丈夫なんで気にしなくて良いです」
この部屋の作りはしっかりしているので大丈夫だ、大丈夫じゃない所にはそもそも湯舟を置かないだろう。
たらいとか湯桶でタオルで拭くことになる。
改めて気持ちを入れ直し。一枚ずつ脱いで行く、こっちを見ているのがわかる、こういう時は潔く見てくる、分かりやすくて良いが、あんまり真っ直ぐ見られると困る。
「あんまり見ないでください」
少し文句を言ってみる。
「すまん、奇麗なもんだから見とれてた」
悪びれない様子で返してくる。お世辞だろうか?
「本気で言ってますか?」
本気で言ってくれるなら嬉しいが。
「当然」
軽くお湯をかぶって湯船につかる、それほど広くはないので、前に一緒に入った時と同じように和尚さんの足の隙間に収まり、背中を預ける。
「私は灯さんの方が奇麗に見えます、こんな傷だらけで細くて女らしくない体でも大丈夫ですか?」
こういう時に無い物ねだりを愚痴ってもしょうがないが、口をついて出てくる。
「少なくともそんなもん俺は気にしてない、あの時の勢いはどうした?」
後ろから抱きしめられる。本気であの時は勢いだけだったけど、本気だった、出来ればあの時に勢い余ってくれればこう後からじたばたする事も無かったのにと思うが、本当に今更だ。
「嫁になると言われて、こっちも受け入れたんだ、今更卑下されても困る」
和尚さんの手が胸元に移動して、優しく揉まれた。真ん中のあれも反応しているようだ。
「・・・・証明してくれますか?」
深呼吸して、改めて続きを願う。唇を吸われた。最初は軽く、段々と長く深く、舌を絡ませる、しばらく続けると、酸欠のせいもあってか、体中の力が抜けていく。
「これで証明になるんなら幾らでも。」
優しくささやかれる。
「・・・はい・・もっとして下さい・・」
この後たっぷり優しくされた。
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