第5話 そんな雰囲気
「ん?」
視線を感じて目を開けた、目の前に灯の顔があった、先に起きてたらしいが。
(近い)
文字通りの目と鼻の先、四つん這いで上に乗っかられている態勢、灯の重さは大したことないので跳ねのけるのも何の問題もないけど、そんな潔癖なキャラではないので。
(これはいいのかな?)
こっそりと手を伸ばして、相手の頭をつかんで固定、そのまま唇を重ねた。
「ん!?むー!?」
灯がじたばたと暴れる、近いんだからこれぐらいはされてもしょうがないだろうと後は気にしない方向で手を出した、舌は入れないで触れるだけだが、暫く暴れたあとぐったりと脱力した、そこまでと言うことで手を放す、逃げてもいいよと、体勢直しに軽く持ち上げる。
「ごちそうさま」
ぜいぜいと呼吸が荒い、息を整えるのに手間取っているようだ。
「そんなに近いとこうなるぞ?」
悪びれもせずにそんなことを言ってみる、逃げるかと思ったがどうやら固まっている、んーと、持ち上げるのは止めてそのまま抱きしめることにした、灯の体重がそのままかかってつぶれる、人一人分の重量なんて大したことはない、口は重ねていないが、又すぐ横に顔がある、女の子特有の男とは違う柔らかさを感じる、そんなことを思いつつ、改めてそう言う対象として視てみる、若い、学生、化粧っ気は無い、会ったときは険しい顔をしていたしそんなことを考えている段階ではなかった、今日のご飯は確保できたからそんなことを考える余裕もできた、髪はそれほど長くはない、胸は平均だろうか、さっき寝る前あたりからケンも取れて可愛くなってきた、俺の年齢的には半分ぐらいか、犯罪だな、自分自身は30手前である、最終的に真ん中がおっきするかということに集約するのだが、そういう意味では問題ない、そんな益体もないことを考えているあいだに、呼吸音が大分静かになったことに気が付いた、大分落ち着いたらしい。
「落ち着いた?」
こくりと頷く。
「こんなおっさんに一目ぼれってわけでもないだろ?」
自分の顔はそれほどかっこいい枠ではない、良いとこ一般人枠である、まだ若い気でいるが、黙ってしまって反応がない。
「逃げなかったら襲うぞ?」
びくりと震えたが、それだけだった。逃げるわけでもないと。
「んじゃ、もらうぞ?」
こくりと頷いたような感じがした、強めに抱きしめる。唇を軽く重ねつつ、体を起こして上下を入れ替える。
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今動くと灯がばてる、さっきの血の跡追跡は後で良いだろう、あれが無事追いかけきれればもう一匹分肉が手に入る、奴の傷の状態次第ではあるが。
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