第186話 エチゴラの新たなる同士?
「おい、貴様! なんだこれは!? 一体なにをした!」
そうですよね、最初はみんな混乱するんですよ。
なんせ首から下がなくなりますからね。
「あの、とりあえず落ち着いた方がいいですよ」
「これが落ち着いてなどいられるか!」
「ですがそのままだと」
「ぐ」
ああ、やはり舌を噛んでしまいましたね。
ヒダリ様は結構、雑に扱ってきますから。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫なわけあるか!」
「エチゴラさん、方向はこの方向でいいですか?」
ヒダリ様、皇帝のことは完全に無視ですね。
「ええ、この方向に真っ直ぐ進んでください、大きなお城が見えてきましたら、それが帝都になります」
「わかりました、速度を上げます」
「おい、私の話を聞け!」
ああ、そんな大きな口を開けて話さない方がいいですよ。
「なんなんだ、これは。ふざけるぁああぁぁぁ」
「なぁぁぁぁぁぁ、んぁぁぁぁぁぁ」
この状況でもまだ話すことを諦めないとは。
流石、一国をまとめる方は普通ではないですね。
まあ、なにを仰ってるのか全くわかりませんが。
「とぉぉぉぉぉぉぉ、めぇええええぇぇぇ」
ん、あれは。
そろそろ帝都が見えてきたようですね。
しかし、相変わらず常識外れの速さですね。
「エチゴラさん、あそこに見えているのが帝都でしょうか?」
「ええ、あれがノーゼノン帝国の帝都になります」
初めての帝都ではありませんが、全貌をこのような形で拝見できるとは。
空中から街を見下ろすというのは中々貴重な体験ですね。
「やっと止まったか」
ああ、まだ止まってませんよ。
油断してはいけません。
「おい、貴さぁぁぁあああぁぁぁ」
空中にいますからね。
降りるために急降下したりしますよ。
この方向だと向かう先はお城の中でしょうかね。
ここは……大きなベッドがあるということは、どなたかの寝室でしょうか?
「貴様、私の寝室になにをする!」
皇帝の寝室でしたか。
……寝室の屋根に大きな穴が空いてしまいましたね。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫な訳があるか!」
まあ、そうですよね。
なんというか色々大丈夫ではなさそうですよね。
「それじゃあ契約を果たしてもらおうか」
「このような姿で何ができる、早く元の姿に戻せ!」
「あんたこの国の皇帝なんだろ? なら金がある場所もわかるよな?」
「いいから元に戻せ!」
ああ、皇帝さん。
素直に案内した方がよいかと思いますよ。
余計な被害が増えていくだけですから。
「な、貴様! なにをする!」
「何って床にちょっと穴を開けただけだろ」
部屋の床の半分程の大きさの穴ですか。
ヒダリ様、これを普通はちょっととはいいませんよ。
「貴様、ふざけているのか? 床と天井にこんな大穴を空けおって!」
「寝室が吹き抜けとかお洒落でいいんじゃね?」
「扉を開けたら大穴では、ベッドも使えんではないか!」
「うーん、ならこうするか?」
今度は壁ですか。
外から丸見えですね。
「何故壁にも穴を空ける!?」
「調和?」
「貴様は調和の意味をわかっているのか?」
「さあ? でもテラスみたいでいい感じだろ」
「テラスにベッドを置いてどうする!」
このままいくとお城が失くなりそうですね。
「ノーゼノン皇帝。そろそろヒダリ様を金庫なりにお連れしないと」
「貴様も何を言っている」
「このままですと、お城が穴だらけになってしまいますよ」
「くそ、金庫は地下だ。そこの穴から降りたさらに下にある」
「わかった、案内してくれ」
なんでしょうかね。
私の生まれ故郷を破壊しようとした輩なのですが。
同情の思いがとまりません。
これは共に首から下がない者同士だからでしょうかね?
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