第184話
石ころになったな。
とりあえずぶん殴ったが何かの眷属だったか?
だがヘラレントの時のように、近くに何かがいる感じもない。
何よりもなんだかわからんうちに、ぶん殴っちまったからな。
「ベルベーノラ様!」
さっきの奴はベルベーノラっていうのか。
後でヘラレントかルド辺りに聞いてみるか。
それで、こいつが今回の親玉かね?
「あんたが今回の首謀者か?」
「貴様はいったい」
「ガンドラル村の村長だよ」
「ガンドラル村……本当にあったのか!」
あったのかって……。
何を根拠に無いと思ったんだ?
「さて、ここまでやったんだ。この喧嘩の落とし前どうつけるつもりだ?」
なんにしても、やらかしてくれたんだ。
貰うものはきっちりもらいましょ。
「落とし前だと?」
「そうだよ、あんたらは俺の村の属国に手を出した。砦一つを破壊し、それだけじゃ飽き足らず王都までぶち壊そうとしやがった。まさか
「それならば貴様とて我が軍を壊滅させたではないか!」
「お前は阿呆か? 武器持ち出して喧嘩仕掛けといて、反撃されると思わなかったってか?」
やり返すとだいたい怒られるんだが。
この世界の権力者ってのは阿呆が多いのかね?
やるからにはやり返されることがありうるってのを、意識してないやつが多すぎだろ。
「それは」
「随分お目出度い頭たな」
「く」
「まあいいや、落とし前の話だったな。賠償金で百億ラル(一兆円)だ」
「そんな金払えるわけがなかろう!」
そして、二言目には払えない、あり得ないだからなぁ。
自分達は相手の国まで取ろうとしたのに、いざ自分の立場になると無理ですってか。
権力者として自国の利益を守るってのは、間違ってないのかもしれんが。
今の自分の状況をわかってるのかね、この人?
「お前な、この国を攻め盗ろうとしたんだろ?」
「それがどうした」
「もしお前の思惑通りに運んでいて、ガウンティ王国が領土は渡しません、何も支払えませんて言われて、ハイそうですかって言えるのかよ?」
「……」
「なんでお前は良くて俺はダメなんだ?」
「金額が高すぎる! 百億などと、ふざけるな!」
「なんでお前が高いかどうか決められるんだよ?」
「それは……」
「もし俺と立場が逆だったら、お前は俺にどのくらいの金額が適正か聞いてくるのか?」
相手が一ラル(100円)しかありませんて言ったらどうすんだ?
こんだけ派手に軍隊集めて一ラル(100円)貰って帰るのかよ。
それこそあり得ないだろ。
「ぐ」
「はあ、まあいいや、ならまけてやるよ。その代わり帝都にある魔窟5箇所と魔塔2本をよこせ。あとはこの艦だ。そしたら三十億ラル(三千億円)まで負けてやる」
さてさてこっからが本番だ。
「魔窟と魔塔? 利権を寄越せということか?」
「言葉の通りだよ、どうすんだ?」
「そのような脅しに屈すると思ったか!?」
「いや、脅しでもなんでもないぞ。あんたがここで死にたきゃ死ねばいい、その後、あんたの国に行って貰うものを貰ってくるだけだ」
「貴さぐ!」
「どうする今ここで終わるか? それとも今の条件を飲むか?」
さあ、どうする?
まあ、どっちを選んでも結果は変わんないけどな。
合意の上でもらうか、力付くで奪うかの違いだけだし。
「わ、わかった。その条件を飲もう」
まあ、そうなるわな。
なんやかんや言っても自分の身は可愛いよな。
「それじゃ、確認用の書面を作ってやる。お前ら全員、艦から降りてちょっと待ってろ」
「わ、わかった」
結構な人数が乗ってるんだな。
これだけの大きさの戦艦だしこんなものなのかもな。
「全員降りたか?」
「あ、ああ」
「それではこの戦艦は貰っていく」
「な!? 戦艦が消えた?」
「確認の書面を持ってくる、全員しばらくここで待ってろ」
書面の作成はエチゴラさんでいいかな。
上手いことまとめた書面作ってくれそうだし。
さてと、相手が冷静になる前にと。
貰えるだけ貰っときましょうかね。
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