第273話 龍崎海翔

 門を出た所に黒塗りのベンツが停車していた。


 おそらくこの車がラブリの父親、龍崎 海翔カイト氏所有の高級外車ベンツだろう。


 僕はラブリの手を離し、彼女を置き去りにした。

「ゴ、ゴー……」

 彼女の悲鳴に目もくれず、いち目散もくさんに車のドアの前まで駆けて行った。


「すみません❗❗❗ 開けて下さい❗❗」

 すぐにウインドーをドンドンと何度もしつこくノックした。


 ようやくドアの開き、龍崎氏がムッとした顔を出した。


「な、何だね❓ 君、失礼だろう❗❗」

 アラフォーには見えないほど若々しくイケメンだ。

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