イチネンボッキ

猫浪漫

第一章 ペニスのカリスマ

 クスコの変

第1話 豊かな継続

 我が国には、一年近くボッキし続けている男がいるのだという。

 「彼」のボッキは24時間休むことなく日々更新され、コンビニの営業時間にも劣ることがない。


 そのボッキの模様は、「彼」の放送チャンネル「なえしらず」によって、常に確認出来るシステムとなっている。

 現在、「彼」のチャンネルの登録数は100万を超え、SNSのフォロワーは500万を数える。


 この非常に高い支持率の影響により、彼のフォロワーの一部には先人に倣って、勃起の継続を試みようとする者もいた。


 だが数時間すらももたなかったり(ボッキ力の不足)、バイアグラによるドーピング(薬物投与)などが目立つことになった。

 特にドーピング勢は「いんちきじゃないか」などと、めざましい非難に晒される結果となった一方で、彼らの中から常にバイアグラを飲み続けるガチ勢を輩出することにもつながった。


 ガチ勢による過度の薬物摂取は、急性の中毒によって救急車に運ばれるなどの事態にまで発展したことがバカウケし、こちらはかえって高い尊敬と評価を得ることになった。


 またボッキ継続のため、手頃なエロ動画やASMR並びに催眠動画などを閲覧する者も多かったが、卑猥な感傷に耐えきれず手淫を行うことで、心身共に萎えてしまったりなど(賢者モード移行)、誰1人として、「彼」と同等の活動を行うことは出来なかった。


 だが、このようなフォロワーたちによる失敗の多さが、いかにこの活動が難解であるかを指し示すことになり、「彼」はより多くの評価と信者を獲得することになったのである。



 だが当然のことながら、この状況に嫉妬したり、不快感を抱く者もいる。


 これら一派は、ネット界に跋扈する承認欲求が満たされないニートや社畜をはじめ、児童教育に悪影響である――とする風紀委員型の主婦などによって構成され、これらの連中が一斉に「彼」を叩く現象が頻繁に起きていた。

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