国滅のライセンス
「こんなにも恐ろしいライセンスが何故存在するか、答えは簡単。抑制が一切効かない絶対強者が居たからだ。」
殺気を弱めながら判別できるくらいに調整した。生徒たちはやっとのことで感じ取った。
理性によって減退させられた野生を
理性。ここでは便宜上、人社会における人の野生的意味合いとして扱うが彼らはそのぬるま湯に浸かりすぎた。全ての社会を統合した野生を呼び起こすことができないがまでに。
「どうした、覚悟が必要あるのは最初の2人だけか?」
バイソン型の牛の主人と結晶の精霊の主人の2人らは相棒を守らんが為に闘争心を高めこちらに眼差しを、己の家族の為なら死んでも射殺さんとばかりの覚悟の意思を示していた。
「私たちの家族はそうはさせない!」
「ええ、そうでしてよ。」
実力差は明確、されど強者に立ち向かう蛮勇はあっぱれと言えよう。
「うんうん、良きかな良きかな。それでこそプロ冒険者を志す者で無くてはな。」
そこにこの授業を頼んだ悪の黒幕的な者になりたかった校長が現れた。
「おい学園長、このクラスだけじゃないんだろう。もうすぐ授業は終わるし心のメンテンナンスをするなら時間はないぜ。(国王からの廃摘対象はどこにいる。それとアフターサービスはしなくてもいいのか?)」
「そうじゃのう。じゃあ後二つほど請け負ってもらうしのう。プロ冒険者について質問したいものはいるかのう。無いなら早めに終わらせようかと思うがどうじゃろうか。(あくまであぶり出しが優先じゃ。メンテナンスは後日もう一人とデモンストレーションという形で行ってもらうから安心してほしい。)」
ファニを介した会話と普通の会話を使い分、肺を二つに分け声帯と食道の発声法の二種類に行うことで話し込んでいた。
学園長はさらに上を行く。肺と食道の発声法をするまでは同じ。そして声を届ける際、真空波を包み込ませた声を直接ロレンの胸骨にあてることで骨を介してはいるが本人にしか聞こえない声を作り出したのだ。
この場において気づいたのは学園長の孫娘の担任くらいのものだろう。もとよりもっと遠くの人間は何人かこちらの殺気に気づき相棒を飛ばしたのが何人か居てその中でも生徒会長のものと思わしき相棒、というよりは使い魔にあたるサブの相棒だがこの使い魔は完全にこちらに会話の内容に気づいていたと感じた。
俺は殺気を完全に閉じた。
「これで質問できる余裕はできたと思うが何かあるかな。」
生徒たちは静かに黙った。
「無いなら授業は終わりだな。」
俺は担任からファニを受け取り静かに去っていった。
「あれがプロ冒険者、別名国滅のライセンスを持った人間たちだ。君たちが目指してはいけないものだとわかったかな。」
ほとんどの生徒たちはこくこくとうなずいていた。
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