第50話 トラブルメーカー

週3回だったリハビリを、1年が経過してから

火曜日と金曜日の2回にした。

昨年の病院への支払い個人負担が、約20万円だった。

少なくない金額だ。

それもあって、回数を減らした。

それなのに、体調が少しでも悪いとリハビリはキャンセル。

キャンセルしてしまったので、運動療法のいつもの時間が他の人に取られてしまった。

仕方ないので、その週は、月曜日にした。

受付で記入していると、どこかで見た名前が。

Iさんだ。

電気治療の所にその姿があった。

何十年ぶりだろう。

私にバドミントンを勧めてくれたいわば恩人だ。

だが、声をかける気にはならない。

感謝はしているが、それ以上にこの人はトラベルメーカーでもあった。

バドミントンは、ちゃんと誰かに教わったことはなく、

すべて自己流。

それはいい。

女好きだ。

1人の女性に固執して、その人と1対1で練習をして、

他の人を寄せ付けない。

それは、コートを2人で占領することでもある。

S社のバドミントン部だった時、

後輩の女の子に固執した。

彼女は、特別扱いされている気はなかったが、

他の部員と全く練習出来ない状況に

不安になって

「先輩どうしよう。」

と言ってきた。

誘われても断るように言ったが、

結局、彼女は会社を辞めた。

更に、Oさんという女性。

こちらにも固執。

別のクラブを作って、そこから試合に出ていた。

私には、Mちゃんというペアがいた。

入部した時から男子に交じって練習していた。

入部して半年で、出る試合出る試合で優勝した。

ゴールデンペアと呼ばれていた。(一部でだが)

そのMちゃんが2年ほどで会社を辞めたので、

決まったペアがいなくなった。

私は覚えていないが、

Oさんが、ペアを組んで欲しいと私に言ったのだそうだ。

「私のペアは、Mちゃんしか考えられないから。」

と言って断ったそうだ。

極めつけは、人妻のTさん。

私が面倒を見ることになったママさんだけのクラブに当初からいた人。

正直あまり上手くはない。

これにIさんが固執。

練習は、平日の昼間だが、

会社を抜け出して、うちの練習を見に来る。

まあ、見ているだけならと思うが、

ゲームが終わる度、Tさんは、Iさんの元に行く。

そんな行為が、他の部員には不快だった。

注意すると

「私が来てと言ってるわけじゃないので。」

と言う。

1対1での練習を他のクラブにビジターで行っては、

1面のコートを占領するという形で続けていた。

苦情が、私に入る。

2人で混合ダブルの試合に出る。

もちろん、強くはない。

試合中に夫婦でもしないであろう痴話げんかを始める。

Tさんが、コートの中で泣き出す。

対戦相手も閉口。

そんなことで浮名を流す。

Tさんの旦那さんは、海外に単身赴任中だ。

S社のバドミントン部でも

試合球を練習で勝手に使うことが問題になり、

除名になった。

そんなIさん。

Iさんが、熱心に誘ってくれなかったら、

私は、バドミントン選手にはならなかっただろう。

だから感謝はしている。

もう少し、時が過ぎたら、笑顔で挨拶出来るかな。

しばらく、月曜日は避けよう。

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