第11話 復活への第一歩
ギプスで松葉杖は大変だ、不自由だと書いているが、
これは、私が1人暮らしだからだ。
同居人や家族がいれば、食事の世話もしてくれるだろうし、
必要な物は取ってくれるだろう。
買い物も洗濯もしてくれるはずだ。
しかし、1人暮らしはそうはいかない。
他の人のブログを読んでいたら、いた!
1人暮らしで、5階建てのアパートの5階に住んでいて、
エレベーターがないために、ホテル住まいをした人。
出費も大変だし、ホテル暮らしでも生活に必要な物をアパートに取りに帰らなければならない。
仕事も休めないので、ギプスで国内、海外の出張をしていたという。
あら~、大変。
3月22日、金曜日。
ブログやFacebookで宣言し、お店に行くことにした。
何人か、メールも送った。
誰も来なかったら、死にたくなるから。
ゴルフ仲間のSさんが、
「行くよ。」
と言ってくれた。
2人は確定だ。
ブログ仲間のK君も来てくれるんじゃないかな?
期待と不安でいっぱいだ。
夕方から緊張してきた。
歩けるかではなく、お客さんが来るか、だ。
ギプスなので、スカートを履くのは無理だし、
ズボンですね。
上は、何を着よう。
夜だから、ちょっと寒いかな?
あきちゃんが、迎えに来てくれる時間が近づくにつれて
緊張が高まる。
ビルの入り口で下ろしてくれて、彼女は駐車場へ。
ゆっくり通路を歩く。
松葉杖のカチカチという音が響く。
まだ、お客さんが来る時間帯ではないけど、
誰かに出会うかな。
階段だ。
右手で手すりを持って、左手には松葉杖で昇りたい。
右手の松葉杖をあきちゃんに渡し、
1段1段ゆっくりと昇る。
階段のすぐそばにお店はある。
1ヵ月以上留守しました。
懐かしい実家にでも帰って来た気分。
日本酒でいっぱいだったはずの冷蔵庫は、空っぽ状態。
トイレも掃除していない感じだ。
早速、掃除して、ペーパー交換した。
ペーパータオルももう切れそうだ。
こういうこともあきちゃんは気づかない。
やらしたことがないからだ。
全て、私がやっていたから。
予想通り、K君とS君がやって来た。
「揚げたて食べたいでしょう。」
とフライドポテトを持って来てくれた。
S君は、お店の周年記念や誕生日には、
色々とプレゼントをくれる。
今回も北斗の拳のラベルの芋焼酎を持って来てくれた。
ケンシロウとラオウのラベル各1本。
いつも気を使ってくれてありがとう。
そこへ、カラオケの営業が、やって来る。
診断書を取りに来るように言っていたから。
使えないあの営業。
ほとんど何も説明せずに帰った。
Iさんも白々しく登場。
「たまたま寄ったんですよ。」
知ってたでしょ。
ゴルフ仲間のSさんとOさんも登場。
色々と質問責め。
何でも答えますよ。
そこへ、教育長以下3名。
教育調整監は、今回異動。
「バドミントンで切ったんですって。」
金曜日の朝刊に教育委員会の異動が発表されていたので、
その話題も少し。
県の部長さんも来られた。
ある女性が、ドアを開けた。
誰?
目が悪いので、良く見えない。
「どうぞ。」
と言うと入って来られた。
あ、元上司Fさんの娘さんだ。
Fさんは、SさんとOさんの先輩にもあたる。
「Fさんの娘さんですよ。」
二人が振り返り、
「どうも。」
「父が、お見舞いに行ってくれと言いまして。」
「お手紙書いたんですよ。しばらくお見舞いに行けないからと思って。」
「ご自宅知らないしと思ったんですが、ブログに今日お店に出ると書かれていたので」
お花とお見舞いを渡された。
「こちらは受け取れません。」
とお金は返そうとしたが、父から預かったのでと言われ受け取った。
「元気なんですけどね。歩けないんで。」
お父さんは、どうですかと尋ねると、
「先日、外出も出来たし、少しは元気になって来た気がします。」
「もう、2年ですもんね。平成のうちには、行きますから。来月には、松葉杖なしで歩けるかも。」
Fさんは、2年前、脳出血で右半身マヒになってしまった。
父親のいない私には、お父さんのような人だ。
娘さんが、まだ幼稚園の頃、お宅に泊めてもらってことも。
むこうでは、カラオケを歌う。
うるさいぞ~
と言いはしないが…
相変わらず、遠慮しないんですね。
調整監の奥様もお花を持って来られた。
「お迎えですか?」
「車停めて来たから、大丈夫よ。最近まで知らなくて。」
久しぶりだったので、積もる話。
新潟の酒蔵から届いていた純米大吟醸もほぼ空になった。
久しぶりの日本酒。
美味しい。
楽しい。
いっぱいしゃべった。
そうだ、私は、こうやってしゃべるのが好きなのだ。
ここに帰ってこなければ。
来週の金曜日には、ギプスが外れる。
装具を着けてどれくらい歩けるのか分からないが、
今より行動出来るはずだ。
もう少し、もう少しだ。
励ましに来て下さった皆様に感謝です。
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