そんな君も大好き

「ずるい、ずるい、立花はずるい……っ」

「ん?何が?」

「変態のくせに、何でそんな優しいの……!」


 何度もキスをして、私の緊張を解すように髪を撫で、何度も「好きだよ」と甘く囁く。私は余裕なんかなくて立花にしがみついているしかできなくて、でも立花に触れられたところだけはしっかりと火照っていく。思わずしてしまった八つ当たりに立花はふっと微笑んだ。


「それはね、ヨリを愛しいと思ってるからだよ」

「胡散臭い笑顔に騙されそう……!」

「失礼だな。ヨリの前ではいつも甘さ100%なのに」


 ぷぅ、とお得意の拗ね顔ですら愛しく思えるのだから末期だ。立花のふわりとした髪に思わず手を伸ばすと、立花は猫のように目を閉じた。……ああ、ダメだ。幸せかもしれない。つられて微笑む私の額に立花はキスをくれた。


「ところでヨリちゃん。そろそろいい?」


 さっきから太ももに立花の熱くなったそれが当たっているのは分かっていた。寝室のベッドの中、暗いとはいえお互い裸なのだから恥ずかしい気持ちももういらないのかもしれない。それに二人とももう大人だし。コクコクと頷くと立花は嬉しそうに笑って私の顔中にキスをした。


「……挿れるからね」


 耳元で囁かれた甘すぎる声と言葉に体が更に熱くなる。立花の甘い愛撫に蕩けきっていた体は、簡単に立花のそれを受け入れた。


「……っ、立花、」

「……ヨリ、気持ちい」


 はぁ、と立花の唇から零れる吐息が頬にかかる。必死で立花の肩に捕まっていたら、立花の手が私の手を包み込むように握った。


「……動くからね」


 口から勝手に甘い声が洩れる。止める術もなく、揺さぶられるまま熱い息を吐いた。立花は私が苦しくないように、まるで刻み込むように、ゆっくりゆっくり動いた。立花と触れ合っている部分がたまらなく熱い。こんなにそばにいるのに、もっともっと近付きたくなる。触れ合いたくなる。


「たち、ばな」

「ん?」


 繋いでいないほうの手を伸ばせば、立花は体を倒して抱き締めてくれた。どちらからともなくキスをして、舌を絡める。その間も髪を撫でてくれる大きな手が心地いい。


「……大好き」


 だから、離れたくない。どこにでも連れて行ってほしい。それが誰もいない、何もないところでも、立花と一緒ならきっと私は幸せ。抱き締めあったまま何度も腰を打ち付けられて、思考は一気に瓦解した。甘い吐息も飲み込むようなキスに必死で応える。


「ヨリ、俺も好きだよ」


 そんな甘い告白の後、立花のそれが中で震えたのが分かった。


***


「立花……、私どうしたらいい?すぐに行っていい?」


 ベッドの中。心地いい倦怠感の中、立花の胸に擦り寄る。初めて結ばれた翌日に離れ離れになるなんて……。寝ぼけ眼の立花は、私の額にちゅっとキスをした。


「大丈夫。3日で帰ってくるから」

「……え?」

「出張だよ。大袈裟に言ってみるもんだね。ヨリがこんなに素直になるなんて」

「……はい?」

「何なら一緒に来る?まぁ、一瞬も離れたくないのは分かる。俺もさっき抱いたばかりなのにもう抱きたいしね」

「……」

「ヨリ、もう一回」

「騙すなんて最低!」


 立花の頬にビンタしようと振り上げた手は簡単に掴まれ。視界が反転していつの間にか立花の向こうに天井が見える。あ、と思った時には立花の優しく甘い愛撫に翻弄されていた。


「っ、さいて、」

「……好きなくせに」

「……っ、大好きだ馬鹿……!」


 三度目の恋が、ようやく始まりました。

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