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探偵ナイトスコップの秘書、まり子さんが依頼の手紙を読み上げます。
「下岡局長、まり子さん、探偵のみなさんこんばんは。私は○県に住む一児の母です。番組をいつも子供と一緒に楽しみに拝見しています。ところで、先日の放送の「森ノ木図書館のポム館長」ですが、見覚えがあります。幼い頃の記憶なので定かではありませんが、ポム館長に直接会えば思い出せるかもしれないので、会わせていただけませんでしょうか?よろしくお願い致します」
「ほう!あの図書館のポム館長ですね。シャイな方(笑)」
「記憶に新しいですね」
「そんでまたぴょう太が行ったの?」
「はい、私が行って参りました。では早速ご覧下さい」
森ノ木図書館でのVTRが流れます。
「こんにちは。今日は先日おじゃました森ノ木図書館へ再びやって参りました。依頼者はこちら、牧野しおりさんです」
ポムの目から大粒の涙がこぼれます。
「しーちゃんだ!大人になっているけど、僕には判るよ!あの人はしーちゃんだ!」
インタビューを終えて、振り向いたその顔は、あの日のしーちゃんでした。
しーちゃんはポムを抱きしめ、ふかふかの毛に顔をうずめ大粒の涙を流しました。
「ポムだ!やっぱり私のポムだ!長い間、待たせてごめんね。待っていてくれてありがとう」
あの日のことをしーちゃんは話しました。
「あの日の夜、母が倒れました。母はそのまま他界してしまい、身寄りのなかった私は施設へ行くことになりました。ポムを迎えに行きたかったけど、幼い私にはそのことを誰かに上手く説明するかとはできませんでした。大好きな母もぬいぐるみも失ってしまって辛かった…。でも、こうしてまた私の元へ戻ってくれて、本当に嬉しい。母と一緒によく遊んだんです。あぁ、本当に良かった…」
こうしてポムの図書館暮らしは終わりました。
今はしーちゃんと家族と一緒に暮らしています。
嬉しいけど、20年もいた図書館を離れるのも寂しいなぁ。
「ポム!おかえり!」
「どうして帰ってきちゃったの!?」
ポムはまた図書館に戻ってきました。
「うふふ、今日はね『お泊まり会』なんだよ」
しーちゃんは、ポムがまた図書館のみんなと会えるように『お泊まり会』に参加させてくれたのです。
「今度はちゃんと迎えに行くからね」
(おしまい)
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