1311話 地下四十階

さて、赤兜を見送ったらようやくリラックスタイムだ。さっさと休みたいんだよね。私もアレクもかなり疲れてるんだから。


風呂、肉。そしてアレクとの……逢瀬。

私は体が動かないなりにがんばった。スローなラブだ。





「カース……大丈夫?」


「い、いやぁ……つい張り切っちゃったけど……」


うーん体が痛い。いつの間にか無痛狂心が切れてたか。


「カースは横になってて。後は私が……」


「うん!」












〜〜削除しました〜〜














うーん。どれだけ寝てたのかな。目覚めは爽やか、心地よい疲労感に包まれて微睡まどろんでいる。


「カース。起きた? 朝食できてるわよ。」


「おはよ。ありがとね。」


あ、ついに激痛で目覚めなくなったぞ。体はまだあまり動かないが、順調に回復してるな。アレクのポーションマッサージのおかげだな。


朝は味噌スープが沁みるねぇ。あぁおいしい。


「アレク、魔力は回復したみたいだけど体調はどう?」


「ええ、もうすっかり元気よ。昨夜のカースのおかげで……//」


うーん朝から頬を赤く染めるアレクは可愛いなぁ。だいぶ我慢させてしまってたもんなぁ。よし、朝から……ふふふ……むふ。














〜〜削除しました〜〜













ふぅ。もう昼は過ぎたかな。こりゃ今日はここでもう一泊だな。のんびり風呂に浸かって汗を流そう。あぁいい気持ち……




そして瞬く間に翌朝。まあ本当に朝なのかは謎だけどね。うーん、心地よい目覚めだなぁ。体が痛くないって素晴らしい。

おぉ、てくてく歩けるじゃないか! さすがに走れはしないけど。


「おはよう。すっかり元気になったみたいね。嬉しいわ。」


「おはよ。アレクのおかげだよ。ありがとね。」


そう言って朝から熱い口付け。


「も、もうカースったら……いきなりどうしたのよ……//」


「アレクがかわいいからだよ。朝からアレクの顔を見れて嬉しいよ。」


「いつも見てるじゃない。で、でも、ありがと……//」


それにしても最近はアレクのツンデレモードをとんと見なくなったよなぁ。あれはあれで可愛らしかったんだけどなぁ。






そんなこんなで到着したのは四十階。だいぶ広くなったなぁ……縦横十メイルはあるじゃないか。ここからはさらにハードらしいし、慎重に行かねば。なお、私の体調はもうバッチリだ。


さて、この階の魔物は……ほう、オーガベアか。昔一度だけカスカジーニ山で倒したことがあるな。アレクのために魔物の肝を狙った時だったか。


『狙撃』


うん、分かってる。全然効かないよな。でも、急所を狙う気などない。


『八連弾』


額の一点だけに連続して撃ち込む。これでも効かないのかよ。オーガベアはその間に距離を詰め巨腕を振り上げる。だが……『魔弾』


うん。さすがに至近距離でミスリルのライフル弾は効いたな。それにしても大きいよな。体高七メイルってとこか? 立ってもデカいし、四つ足で走られるとこれまた速いんだよなぁ。

さて、落とす素材は……なんだこれ? 少しだけ弾力がある。内臓かな?


「ピュイピュイ」


あら、コーちゃん食べたいの? いいよ。


「ピュイー」


え? 苦くて不味いの? なのに食べたいの?


「ピュイ」


美味しいものばかり食べてると健康に悪いって? 酒飲んでお薬大好きくせに。じゃあ私も一口食べてみようかな。切り取って、軽く火を通して……


ぐえぇぇぇ……まっずぅ……何これ……

でもどうにか吐かずに飲み込んだ……

いつぞやの魔王ポーションほど不味くはないけど、液体と違って噛まないといけないのは辛いぞ……


「アレクも食べてみる? めちゃくちゃ不味いよ……」


「そうね……せっかくだから……」


小さな口にどす黒い琥珀色の何かを咥えこむアレク。


「あ、これ熊胆ゆうたんね。恐ろしく苦いけど、かすかに甘みと清涼感もあるわ。カムイも食べる?」


「ガウガウゥゥ」


なんと、熊胆かよ。熊胆って作るのに時間がかかるんじゃなかったっけ? それがオーガベアを倒しただけで手に入るとは……


ふう。どこがどう健康になるのかは分からないが、確かにコーちゃんの言う通りたまには不味い物を食べるのもいいかもね。きっと胃腸の調子も良くなって昼食が旨くなりそうな気がする。




それから何匹ものオーガベアと遭遇したのだが、落とす素材は熊胆だけでなく、毛皮や熊掌ゆうしょう、角や牙など様々だった。この階からは素材のバリエーションが豊富になるってことか。見た感じどれも高く売れそうな感じはするんだよな。解体や手入れの必要がないのは本当に便利でいいよな。

もし私がカスカジーニ山のオーガベアを解体しようとしたら一体どれだけの手間がかかることか。猪や熊系の魔物は毛皮内にダニがめっちゃ付いてるしね。そいつらをどうにかするだけで一苦労って話だし。


さてと、いよいよボスか。かなりデカいんだろうな。やってやるぜ。

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