第1094話 ダミアンとリゼットの結婚式
今日はダミアンとリゼットの結婚式だ。会場は例によってコロシアム。思えば今生で誰かの結婚式に出席するのは初めてだよな。ウリエン兄上と五人の夫人の結婚式には出席してないし、オディ兄とマリーは結婚式を挙げてないし。
うーん、今日もアレクのドレスが眩しいな。結婚式なんか行かないでこのまましっぽりと……
そうもいかないよな。あーあ。
少し早めにコロシアムに到着。ここにもしょっちゅう来てるよな。
さーて、ダミアン達はもう来てるかなー。貴賓室に行ってみる。
「おーう、ダミアンいるかー。」
「おうカース。来たか。待ってたぜ。」
「お、お前誰だよ……本当にダミアンなのか?」
目の前にいたのはバシッと礼服を着た貴公子だった。
「どうよ、カッコいいだろ? どうだリゼット、ちっとは惚れたか?」
「ええ。カッコいいですわ。カース様の五厘ほど。」
「まあリゼット! すごく似合ってるわ! きれいね! うわっ! しかもその首飾りってもしかして金剛石!? すごくきれいだわ!」
リゼットはリゼットで白を基調としたドレスか。あちこちに入ってる銀の刺繍がかっこいいな。金剛石も大きいし、やっぱリゼットは金持ちだな。
さすがに現代風ウェディングドレスは存在しないよな。よし、アレクには純白のウェディングドレスを用意しよう。ローランド王国初だな。
「ありがとうございます。アレックス様こそ、若葉のような鮮烈な魅力を放ってますわ。胸元の金緑紅石もよくお似合いで、なんと精工なカットなんでしょう。」
今日のアレクは薄緑のドレスなんだよな。あーかわいい。リゼットときゃいきゃい盛り上がってるな。
「ボスぅ。来てくれてありがとう。明日にはもう行っちまうんだよね。殺したいほど憎かったけど、感謝してるよぉ。だからちゃんと帰ってきておくれよ?」
「おおラグナ。お前も出席するのか。」
結婚式に愛人を出席させる男。うーん、それってどうなんだ。
「あら、ラグナもきれいじゃない。よく似合ってるわ。」
「お嬢こそ。本当にきれいだねぇ。ボスは幸せ者さぁ。」
リゼットとラグナとアレク。三人でドレスがどうの、首飾りがどうのと盛り上がっている。女の子だねぇ。ラグナとリゼットって仲良いのか?
「おーし、そろそろ時間だ。行ってくるぜ。」
「カース様、お名残惜しいですが行って参ります。」
「おう、ここから見てるからな。」
「リゼット、幸せになってね!」
ここからコロシアムを見下ろしてみると、いつもの武舞台の上に簡易的な神殿らしきものが建てられている。あそこで愛を誓うってか。政略結婚なのに。
しかしリゼットもなぁ……私を追いかけても意味がないのに。不憫なやつだなあ。結婚式を挙げたからには心変わりしてくれないものか。
終わった。非常に簡素な式だった。
ローランド神教会の神官立会の元、恋愛と結婚の神ユガーノートゥに宣誓し無事夫婦となった。
式自体は簡素だったのだが、観客が多かったため雰囲気はとても簡素なんてものじゃない。むしろうるさいぐらいだった。
そして今からは披露宴、と言うかパーティーだ。観客も武舞台周辺に集まり、飲めや歌えやの大騒ぎになっている。ダミアンが主催すると絶対こうなるんだよな。ご祝儀が相当集まるんじゃないか? 私は大金貨を一枚リゼットに渡しておいた。アレクと二人分だ。
「カース君!」
「カース君!」
「おお! セルジュ君にスティード君! 領都にいたんだね!」
「ダミアン様の結婚式だからね。僕もスティード君も王都には明日出発するよ。」
「あ、それなら連れて行こうか? しばらく会えなくなることだし。」
「えっ!? いいの!? カース君旅に出るんじゃ……」
「いいよスティード君。大した手間じゃないから。しばらく会えなくなることだし。」
今生の別れでもないけどさ。明日は野郎三人だけで王都に行くのもいいかな。
「ありがとう。カース君はいつも世話になってばかりだよね。この腕輪だって愛用してるよ。」
そう言ってセルジュ君が見せてくれたのは、ミスリルの腕輪。クタナツを旅立つ二人に一個ずつ渡したやつだ。
「僕もだよ。これのおかげでバーンズさんに腕を切断されずに済んだしね。」
いやいやスティード君。ナイフが半分まで食い込んだらほぼ切断みたいなもんだよ。繋がってるだけマシか。
この日は私達三人だけで終わりまで話が弾んだ。昔の思い出や将来の展望、それぞれの学校でのバカ話まで。いいなー、すごく青春だ。ちなみにアレクはリゼットやラグナと楽しくお喋りをしている。私達を三人にしてくれてるのかな。いい子だなぁ。ちなみにコーちゃんはあちこちで飲んでいる。
そしてダミアンは周りをバーンズさんなどの有力冒険者に囲まれていた。あいつもいい人脈をゲットしたもんだな。
うん、いい結婚式だった。ダミアンのくせに。
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