第552話 VS魔蠍 2
ここからは時間との勝負だ。なるべく早くジュラから泥を吐かせて本拠地に殴り込む。私の拷問では幹部クラスには効かないことが分かっているので、おじいちゃんが頼りだ。
「ただいまー。おじいちゃん助けて欲しいんです。」
「おお、おかえりカースや。どうしたんじゃ? 何でも言ってみるとええ。」
「わーいおじいちゃん大好き! あのね! こいつって闇ギルド、魔蠍の幹部なんです。だから情報を取りたいんです。おじいちゃんなら自白させるなり何とでもできるよね!」
「そうかそうか。もう捕まえてきたのか。えらいのぅ。任せておけ。張り切るからのぅ。」
「特に本拠地の情報が欲しいです。今から行きたいんです。」
「うんうん。待っておくとええ。ラグナは付いて参れ。」
「は、はい!」
「すまんがカース達には見せられん。秘伝じゃからの。」
「はい! ありがとうございます! 待ってます!」
秘伝なのにラグナはいいのか? まあおじいちゃんには深い考えがあるんだろうな。頼りになる身内って素晴らしい。
さすがに風呂に入るほどの時間はないだろうから、ゆっくりお茶でも飲んでようかな。
「ね、ねえカース……まだ殴り込みに行くの?」
「もちろん行くよ。だって闇ギルドだよ? きっちり全滅させておかないと後が面倒なことになるよ? お姉ちゃんは無理に来なくても大丈夫だよ。明日も学校だし、もう寝た方がいいよ。」
「そうね……先に休むわね。おやすみ……」
そう言えばゴーレム使いの奴、来てなかったな。まあ別にいなくてもいいけど。
「お姉様ね、待ってる間の緊張感に耐えきれなかったみたいなの。何度も突入しようとしてたわ。向いてないわね。」
「そっか。それでいいよね。無理に付いて来なくてもね。」
なるほど、読めた。アレクの意図が。
シャルロットお姉ちゃんに、私に付いて行くことがどのようなことなのかを自ら悟らせたんだ。今夜だけでなく今後の人生においても。あなたはカースに付いて行く覚悟があるのか? と、問うたのだ。その答えが、向いてないってわけか。アレクは本当に頼りになるなぁ。大好き。頭を撫でてあげよう。よしよし。
「も、もう何よ……バカ……//」
「待たせたのぅ。吐きおったぞ。吊り天井の一件、まだ確証は持てぬがこやつらがかなり怪しい。詳しくはまたじゃ。ボスに繋がる可能性がある幹部の居場所はラグナに教えてある。ワシはこやつを騎士長に引き渡してくるでの。」
「さすがおじいちゃん! すごいすごーい!」
ん? ラグナが青い顔をして震えている。怖いものを見たのかな? さすがおじいちゃん。怖いもの知らずの闇ギルドの元ボスをこんなに震え上がらせるなんて。やはり尊敬してしまうな。
「ぬふふふふ、そうかそうか。困ったらワシに何でも言うんじゃぞう。」
おじいちゃんもご機嫌になって私も助かった。ウィンウィーンだな。
「じゃあ行ってきまーす!」
「行って参ります。」
「ピュイピュイ」
今度こそ本当の討ち入りだ。
おのおのがた、いざ魔蠍へ!
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