第293話

ある体育の時間、デル先生に色々聞いてみた。


「剣術だと無尽流とか無限流とかありますけど、槍術だとどんな流派があるんですか?」


「無限流? まあそれはいいや。槍術だと王都では『破極はきょく流』かな。他には『極蔵院ごくぞういん流』に『胤田いんだ流』なんかがあるね。」


「たくさんあるんですね! その中で無尽流のアッカーマン先生が対戦したって話はあったりしますか?」


「あるかも知れないよ。アッカーマン先生が若い頃には剣術使いや槍術使い、体術使いとあれこれ対戦したらしいけど、負けたって話は聞いたことがないしね。」


無敵なのか! さすが先生の先生!


「じゃあ前々回優勝のアイシャブレさんって槍も使うらしいですけど、何流なんですか?」


「あはは、彼女も変わり種だからね。無尽流と破極流が半々だね。剣も使うけど本気の時はいつも槍だよ。まあそれを言ったら剣鬼さんだって薙刀や長巻を使ったりするしね。」


「そうなんですか! 知りませんでした!」


父上からも聞いたことがない。少し悔しいぜ。


「結局のところ相手次第だと思うよ。動きの鈍い防御の硬い相手にはやっぱり長物ながものだよね。」


「へぇー! じゃあアイシャブレさんがフェルナンド先生に手傷を負わせたって話はどんな状況だったんですか?」


「それは初耳だなー。私の方が知りたいよ。とても興味深い対戦だよね。」


この後もあれこれ聞いたところ、無尽流は剣術の流派だが、アッカーマン先生は剣に拘ってはいないらしい。組み打ちもあるし、剣を投げてもいい。もちろん槍も使うし縄鏢も使う。若い頃は道場破り一歩手前のことをよくやっていたらしい。その過程で色んな武具に造詣が深いとか。その結果、一番相性がいいのが剣だったらしい。

凄い人だ……


不安になってきた。私は試験を突破できるだろうか……

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