第278話
コーちゃんが我が家に来た翌日。アレクにも見せてあげたくて、呼びに行った。
いきなり連れて行くと道中や他の人達を驚かせてしまいそうなので、我が家に呼ぶのだ。
「と言うわけで面白い家族ができたから見に来ない? よかったらたまには弟君も。」
「楽しみね。一体何かしら。アルベリックも呼んでみるわ。」
果たして弟君は来てくれるかな? あの生意気具合がかわいいんだよな。あれでも同級生とは仲が良かったりするのかな。するんだろうな。
「お待たせ。アルベリックも行くって。」
「姉上が言うから行くだけだからな!」
ふふふ、かわいいやつめ。
確かキアラはセルジュ君やスティード君の妹さんとはよく遊んでいるが、弟君ほど年上の友達はいなかったはず。
アレクサンドル家の馬車が我が家の門をくぐると、早速コーちゃんが横から窓にへばりついてきた。この馬車はそんじょそこらの馬車と違い窓が透明なガラスなのだ。だからコーちゃんがはっきり見える。
「きゃぅ!」
「うわぁ!」
二人とも驚いている。
「あれが新しい家族だよ。フォーチュンスネイクのコーネリアス。コーちゃんと呼んであげてね。」
「訳が分からないわ……何でフォーチュンスネイクがいるのよ……」
「フォーチュンスネイク?」
二人を馬車から降ろし間近で見せる。
「うわぁかわいいのね。きれいな目をしてるわ。ウキャウキャ言ってる。」
意外と鳴き声のバリエーションが豊富らしい。
あ、母上とキアラも出てきた。
「朝からカースがごめんなさいね。この子ったら昨日から張り切っちゃって。」
「おはようございます。お招きにあずかり恐縮です。本日は弟も連れて参りました。」
「お初にお目にかかります。アルベリック・ド・アレクサンドルでございます。噂に名高い聖なる魔女様にお会いできて光栄です。」
さすがの上級貴族。七歳で素晴らしい挨拶だ。
「ようこそ我が家へ。アルベリック君の魔法の腕前は聞いているわよ。ぜひうちのキアラにも教えてあげて欲しいわ。」
「キアラです。四歳です。好きなものはゆうしゃとカー兄です。」
おっ、キアラも立派な自己紹介だ。えらいぞ。弟君が勇者って言葉に反応したな? 男の子なら当然だ。
私達は自然と二手に分かれた。
私とアレクはコーちゃんと遊び、キアラと弟君は母上と遊んでいる。水の魔法が飛び交っているぞ?
「で、どこで捕まえたのよ?」
「いやー捕まえたってより懐いたってとこかな。ヘルデザ砂漠でね。あんまり可愛かったものだから餌をあげたら付いてくるんだよ。それでついつい連れて帰ってしまったと。」
「カースらしいわね。でもこんなにも可愛いんだし無理もないわ。『精霊あるところ没落なし』って言うらしいわよ。」
「へー、それはいいね。うちのマリーもそんなことを言ってたよ。やっぱりアレクも知ってるんだね。魔物じゃなくて精霊なんだってね。」
「当たり前じゃない。王都の貴族が聞いたら喜んで奪いに来るわよ?」
「奪おうと思って奪えるものなの?」
「普通は無理ね。私には思い付かないわ。でもあいつらって予想もつかないエゲツないことも平気でやるらしいわよ。油断しないでね。」
これもファンタジーあるあるだな。主人公がひょんなことから強力な召喚獣とかを手に入れて、それを狙って一大スペクタクルが巻き起こるアレだ。
これはこれで大儲けできそうな匂いがする。しかし可愛いコーちゃんをそんな金儲けの道具にしたくない。困ったな。
ちなみにコーちゃんの
ちなみに我が家の馬、シルビィはコーちゃんを相当に恐れている。馬と蛇だから仕方ないのかも知れないが。
だから銀湯船は我が家の南西に配置してある。馬屋は北東なのだ。
昼食後、いつの間にか全員集合していた。
サンドラちゃん。
スティード君と妹二人。
セルジュ君と妹一人。
そんな大人数で狼ごっこをやったりゴブ抜きをしたりした。我が家の庭では狭すぎる。しかし楽しすぎる。サンドラちゃんも弟達を連れて来ればよかったのに。
そこにコーちゃんも紛れて大活躍をした。まるでルールが分かっているかのように動くのだ。
こんな頭が良いコーちゃんも可愛いなぁ。
七月最後の休日はこうして終わった。
来週末から八月に突入、いよいよ夏休みが目前だ。
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