第250話

およそ五分後、ゆっくりドアがノックされた。


「誰だ?」


やはりドア越しに声をかける。


「先ほどの案内係のアンナでございます。」


「先ほどの不審者は何者だ?」


「ご説明いたしますので、お開けいただけますか?」


「そこでしろ。」


「い、いえ、それは直接……」


怪しいぞ? 確かにこの声はさっき案内してくれた人だ。

ならば鉄キューブを少しズラして……浮かせられないから大変だ。


「今開ける。」


閂を外す。


途端にドアが激しく開けられる。

しかし開かない。顔が見える程度しか開かない。


やはり不審者だ。案内係の首に刃物を当てている。マジで押し込み強盗だ。


『狙撃』


これだけ隙間があれば十分なので頭を打ち抜いた。


「不審者はそいつだけか?」


「あ、ありがとうございます……まだ一階に五人ほど……」


「押し込み強盗か?」


「いえ、それが……辺境伯様の……四男様で……」


何それ? 意味分からん。


「入れ。」


鉄キューブを動かし係を中に入れ、再びドアを固定する。


「奴らの目的は?」


「その……このお部屋が塞がっていたことで癇癪を起こされまして……」


嘘だろ……そんな奴がいるのか……

それで従業員の首に刃物って……許されるのか? フランティア辺境伯家と言えば王都でのアジャーニ公爵家にも匹敵するほどの大貴族。許されるのか。家格で言えばギリギリでアレクサンドル家に勝てるぐらいか。


優しく金で話をしてくれたら素直に譲ったものを。馬鹿が。


「何人まで同時に連れてこれる?」


「わ、私を含めて四人です。」


「なら二人連れて来てくれ。そこで寝てる奴が呼んでるとか何とか言って。」


「わ、分かりました。」


その間に首輪を外して奴の死体を収納しておこう。血の跡を洗ってと。

オディ兄ほどではないが、私も洗濯魔法はそこそこ使えるのだ。


おっ、上がって来たな?

エレベーターを降りた所を後ろから……

『狙撃』


弾丸一発で二人の頭を撃ち抜く。


「さて、後三人か? もう二人、難しいなら三人まとめてでいい。連れて来い。」


「は、はい……」


こいつも災難だよな。目の前で何回も人死を見せられるとは。


それにしてもこいつらっていつも横車押しまくってんだろうなー。全然警戒してないんだもんなー。


おっ、二人か。係のやつ上手くやったな。

全く同じ方法で二人とも片付けた。

魔力庫のことを気にしてなかったが、貴族の連れだ。普通消滅する設定だよな。

さて、残りは四男だけか。


上がってきた。

『落雷』


室内で落雷を使うのはかなり難しい。

取り敢えず気絶させた。


「ご苦労。もういないな? で、こいつが四男でいいのか?」


「は、はい……そうです……」


「分かった。ここはもういい。後で呼ぶ。亭主と来い。」


あー面倒だった。さて、こいつはどうしよう。一応生かしておいたけど。

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