第195話

明日、兄上と姉上がクタナツを出発するらしい。姉上は領都までだが、兄上は領都経由で王都だ。どれだけかかるのだろう。

そこで思いついた。


「王都までは難しそうだけど、領都まで乗せていこうか?」


「それはありがたいな! いいのかカース?」


「私は兄上と一緒に歩いて行きたいわ。」


しまった。姉上はそうだよな。兄上と居られる貴重な時間だもんな。


「そうだな。カースのあれは狭いからな。三人でキツい思いをすることもないか。」


そこで姉上の目の色が変わった。


「何に乗るのか見たいわ。」


私は鉄ボードを出してみせる。

一畳の広さに三人で座る。


「いいわカース! ぜひお願いするわ! 領都まで連れてってちょうだい!」


やはり姉上だな。これでいいのか兄上?


「ねぇ兄上? これなら早く着くじゃない? なら領都で少しゆっくりできるわよね?」


「そうだね。せっかくだからカースと三人で領都を歩くのもいいね。」


兄上! それはだめだ!


「僕としては知らない街を一人で歩いてみたいんだよね。一人で静かに悠々とね。」


姉上がでかした!って顔をしている。


「まあカースったら冒険心旺盛なのね。男の子よねぇ。それなら後でお小遣いあげるわ。やっぱり男の子は冒険しないといけないわよね。」


「それもそうかな。まあカースがいいならそうしようか。」


明日用に大きめの鉄ボードを作ろうかと思ったが、やめておいた方がいいな。


ちなみに以前思いついたアイデアにハニカム構造がある。

これなら強度を損なわず肉抜きができるとか。今から新しく作ってみよう。三人乗るわけだから少しでも軽くしておかねば。

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