第24話 カース次に進む

昨日は楽しい誕生日会だった。

夜も少しキツかったけど、よく眠れたし。

今日も励むとしよう。


「さあカースちゃん。今日も張り切っていきましょうね!」


おお、母上もやる気になっている。

朝から元気いっぱいだ。


「昨日カースにちゃんにしてあげたのは、経絡魔体循環の一種なの。

以前はお母さんの魔力をカースちゃんの経絡に入れてかき回したのね。

昨日はその逆にカースちゃんの魔力を吸い出したの。

何だか吸われる〜って感じがあったでしょう?

そうやって魔力をほとんど吸い出してから回復すると元より魔力が多くなってるってわけなの。」


「つよくなるってこと〜?」


「そうなのよ。やっぱりカースちゃんはよく分かってるわね。えらいえらい。

前回もそうだったけどポーションを使うのは最初の一回だけ、それ以降は自然回復でやるの。

ちなみにこれって先に魔法を覚えてからでもいいんだけど、なるべく早く始めた方が有利なの。

魔法の使い方なんてどうせ学校で習うんだから今は魔力を高めておきましょうね。」


「押忍!」


なるほど。分かったぞ。

魔法を使って魔力を消費させても最大値は上昇するが、この方法の方がきっと効率がいいんだな。

それを若いうちにやるほどドンドン伸びるってわけだな。


「さあ今日は手を使うのよ。こうやって。」


母上が私の手を握る。

その瞬間……


「ねびっな」


最早お馴染み、変な声が出てしまう。


手から魔力が抜けていくようだ。

昨日より早い気がする。


「この感覚を覚えておくの。本当はどこでもいいんだけど、まずは手から魔力が出るようにしましょうね。」


「押忍!」


おお、魔法っぽい。

イメージだが、魔法とは魔力を火や水に変換したものだとすると、これは魔力をそのまま外に垂れ流すようなものか。

変換しない分一度に大量に放出できるのだろうか。


そろそろ気持ち悪くなってきた。

ハイな気持ち良さと、おクスリが切れかける時の気持ち悪さを同時に味わうかのようだ。


「はい、ここまで。お昼ご飯には早いから、それまで好きにしてていいわよ。」


「押忍……」


好きにと言われても、この状態で放置とは……

優しいのか厳しいのか分からないな。

そういえば気を失ったりすると容赦なく水をぶっかけてくるよな。


遊びに行きたいけど、外には出られないし、クロちゃんと狼ごっこをする元気もない。


そうだ。

今は魔力が枯渇しているはず、この状態で錬魔循環をやってみよう。

首輪もしていることだし、結構きつい修行になるかも。







結論から言うと何も起こらなかった。

例えるなら、道路は広々としており、きっちり舗装もされていて走りやすい。

なのに車が一台もなく走らせようがないってとこだ。


普段ならこの首輪をつけていても重いコンダラを押すように魔力を流すことができる。

引くのではなく押すイメージだ。


しかし今は車もコンダラも何もない。

魔力切れとはこんな状態なのか。

大人しく寝るとしよう。






昼ご飯も食べたことだし、午後からもハードになるかな。


「さあカースちゃん、続きをしましょうね。

手を出して。今度はゆっくり吸ってあげるから、カースちゃんからも押し出してみてね。」


「押忍!」


なるほど、吸われる勢いに合わせて押し出すことで、魔力を放出する感覚を養うわけだな。

ならば錬魔循環で魔力を回しながら、ダムの放出をイメージして手から押し出す!


「キャッ、いっぱい出たわね。すごいわカースちゃん!

こんなに出せるなんて、また教えることがなくなっちゃったわ。

いい? その感覚を覚えておいて。

朝食と夕食と寝る前に、必ず外でそれをやりなさい。

ゆっくりでいいから全部出して空っぽにするのよ。できる?」


「押忍、できるよ。」


なるほど、こうやってこまめに魔力を空にして最大値を上げると効率がいいんだな。

最後の幻想Ⅱ方式だ。


しかし放出した魔力が勿体ない気もするが、それは気にしても仕方ないものか。

箱に詰めたり木に当てたり流したりしたら何か起こるかな?

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