無添加の世界④
「あっちは合流したみたいだねー。出来れば僕も行きたいんだけど、お兄さんそろそろしちゃいなってギブギブ」
「……断る」
「でもさー、メリッサには誰も勝てないよー? だから大人しくしてくれた方が僕も助かるなー」
「
少年の両足が地面から離れたところを狙った一撃も、大きなクレーターを作っただけで仕留めるには至らない。
それどころか鋭く切り返した一撃が腕を掠める。
「すごいすごい、これが人類で最強の戦闘民族の力。象のお腹も蹴りで貫いて、馬を無休で走らせても3日の森を1日半で駆け抜ちゃう足」
両手に持ったダガーナイフをくるくると回しながら感嘆しつつも、その
油断を誘うような口調とは裏腹に、ほんの少しだけ動いた左手に合わせて足下がせり上がり、広範囲に渡って爆発が生じる。
上手く誘導に成功した少年は予め仕掛けていた罠を作動させ、空に逃げた獲物を先程の爆破と同じ規模で一気に叩き落とす。
「凄いね、このコンビネーションで仕留められなかった傭兵は初めてだよ」
煙の中からほぼ無傷で姿を表した無愛想な男を見て、少年は感激の声を漏らす。
「ふんっ、くだらん」
「お兄さん名前は?」
「ユーリ・イルカルラ」
「ユーリ……僕はギルバート・ウィンチェスター。また会おうね、お兄さん」
そう言って闇夜に紛れたギルバートの気配を見失い、踵を返して大きく離されたフランチェスカの方に急ぐ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます