目の前の‥‥‥現実
俺は魔法防壁を張ったお陰で、なんとか無事でいた。
砂に埋もれた俺は、何時間ぐらい、気を失っていただろうか‥‥‥。
「‥‥‥うっ‥‥‥ううっ」
頭を押さえ、唸りながらなんとか四つん這い状態で、体を起こす。まだ頭がふらつくのか目の前の視界がボンヤリと見える。
顔をゆっくりとあげた、俺の目の前の視界の光景が徐々にはっきりとしてくる‥‥‥
「‥‥‥うそ‥だろ‥‥」
そこに広がっていたのは、何も無い風景。
所々に黒い塊の様な物が散乱している。
確か俺が居た所は、少し開けた広場のような場所だったはず。その周りには軍の施設や多くの家々が立ち並んでいたはずだ。
けど‥‥俺の居る場所は‥今居る場所は、本当に何も無い。
あるのは黒い何かに焦げた様な地面が遥か地平線まで続いてる様な‥‥。
そして俺は恐る恐る空を見上げる。空はドス黒い雲が空を覆っていた。今が昼なのか夜なのかわからないほど辺りが暗い。
「誰か‥‥誰か‥‥居ないのか‥‥」
俺は四つん這い状態から、更に起き上がろうとするが、体に力が入らない。
あまりの今まで居た風景の様変わりに、俺だけが、別世界に飛ばされたのではと思えた。
しかし‥‥‥それは直ぐに違うと分かる。
俺は近くにある黒い塊の所まで、四つん這いで近づく。それは自分の顔ぐらいあるだろうか、俺はそれに触れようとした。
「熱っ!」
黒い塊はまだかなりの熱を持っていたのか、俺は手が触れた所が、軽い火傷をした。
そして、その火傷をした手を見た時、俺は、体の震えが止まらなくなる。
「こ‥‥‥この‥跡は、この手の平に付いた跡は、‥この国の紋章‥‥‥」
俺の手に付いたのは、この国の紋章の跡が火傷の跡として、俺の手の平についていた。
ーーー夢では無い!この目の前に広がる、無残な変わり果てた光景は、俺の住んでいた国だ!ーーー‥‥‥
俺は心の中で叫んだ!『嘘だ!嘘だ!嘘だ!』、手の火傷の痛みを忘れる程叫んだ。
「嘘だあああ!!!誰かあああ!!!居ないかあああ!!!」
俺は声に出して叫んだ!何度も何度も叫んだ。声が枯れるまで叫んだ。
だが‥‥‥答える者など誰も居なかった。
この死の世界に、何も無くなった世界に‥‥‥。
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