祈りの姫討伐戦 その後
人類解放本部 祈りの教会 『視点:英雄』
笑い狂う兵士達の間を走り抜けて、祈りの場へと向かった。
俺は英雄だ。
だから、人類の敵となる存在は排除しなければならない。
そう思って、教会のその場所にたどり着いたというのに。
「ただの子供じゃないか」
そこにいたのは、人類を救う救世主でも暴走した化け物でもない。
ただの一人の少女だった。
教会は、こんな小さな少女を利用していたのか。
俺は、いるのだかいないのだか分からない神に向けて、一心に祈りを捧げ続ける少女に近づいていった。
少女が振り向く。
無邪気な瞳が俺を貫いた。
「どうして皆、そんなに怖い顔で私を見るの? 私はただ、皆が平和に生きられるようにしたいだけなのに」
俺はその場にしゃがんで、少女に笑いかけた。
「なあ、お前。ここから出ていかないか」
「えっ?」
「外は広いぞ」
教会に囲われた祈りの巫女は、悪しきモノに触れないために一生外へは出られない。
その境遇を哀れに思った。
そしてそんな境遇だからこそ、危うく、たやすく狂ってしまうのろう。
「大丈夫だ俺はお前の敵じゃない」
どこから狂った人間の笑い声が響く。
不気味で、ひきつった声が。
しかし目の前では不釣り合いな、幼い声が無邪気な声で朗らかに笑った。
「本当? 私のお友達になってくれるの? 嬉しい!」
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