第11話

【見たくも無いさ】


幼き日の死蔵品、それは醜く、ぐずりと身のうちの塞がりかけた傷跡を抉る。

悲愴と悲惨と陰鬱の合いの子、それが最も相応しい。

甘さも、時による風化も無い。幾ら過ぎたとしても思い起こすだけで、ぎしぎしと虫唾の走るような実に厭な記憶だ。


開いた箱の内側に、凝る嘗ての怨嗟の目

鈍く痛んだ瘡蓋と、鼻を擽る饐えた香と

噎ぶ口腔拡がる胃酸、はたり伝わり雫墜つ


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