ギャルとオタクは険悪関係でもでもゲームの中では夫婦でした

かき氷・シラー

第1話『現実世界と仮想世界』

『アイ、そっちの敵は任せた!』


『任せなさい!ロータスはそっちの2体任せるわよ』


『おう!』


アイはラビットホーンを一体相手にしている。敵は突進しか使えないがとても早く避けるのが難しいユニーク個体だった。

一方ロータスはサイクロプス2体を相手にしている。大きいので技も大きくスキが大きい。ロータスは二刀のナイフを持ち瞬時にサイクロプスの脚を切り裂く。バランスを崩したサイクロプスは倒れ目元にナイフを指す。これを繰り返してサイクロプス2体は倒した。

アイの方も戦闘は佳境に入っていた。手裏剣を使い徐々にダメージを稼いでいく。動きが鈍くなったところを走り込み刀を抜刀して切る。ラビットホーンを殺した。


『お疲れアイ』


『ありがと、ロータス』


2人はこのゲーム『ファンタジー』の中で夫婦をしている。

『ファンタジー』とはスマホオンラインゲームである。剣や魔法があるオンラインゲームだ。このゲームにはギルドや結婚システムがある。その結婚システムを使ったのが夫婦になる。


『はー明日も学校かぁヤダなぁ』


『どうしたのロータス』


2人は結婚して1年経つ夫婦だ。勿論ゲーム内だけだけど、でもそれだけ長くいればゲーム内でもリアルのことを話すことが増えてくる。と言っても愚痴などがメインだが、たまに家族のことなんかも話したりするくらいは信頼してる。


『また弄られるよ絶対〜最近エスカレートしてるんだよねぇ』


『そうなんだ、大丈夫?あんまり酷いようなら先生に言った方がいいよ』


『うーん、そうしてみるよ、じゃあお疲れ、また明日!』


『ええ、おやすみなさい』


2人してログアウトする。



◇◆◇◆◇


「いってきまーす」


俺、相葉蓮はオタクである。学校ではゲーム好き、特にエロゲーを愛するキモオタと言われている。もちろん俺はエロゲーが好きな訳では無い。やったことないかと言われるとNoだけどそこまで好きではない。ゲームならオンラインゲームで充分楽しめてる。

今ハマってるの『ファンタジー』というゲーム。ロータスが俺のゲーム内アバターだ。職業アサシンでプレイしている。


今日からまた1週間が始まる。俺にとって地獄の1週間が、それは学校での人間関係のせいだ。

俺はクラス内ヒエラルキーは下の下だ。そのせいでクラス内ヒエラルキートップの女王水瀬あいりに絡まれる。クラス内で女王様に逆らえる人はいない。その中で俺は水瀬あいりのお気に入りに入れられてる。お気に入り=いじられキャラという扱いだけどな。


学校に着きクラスに入る。俺の席は窓側から1列目の1番前だ。鞄を机の横に掛け、読書に入る。読書をすることにより他人からの接触を断つ。友達がいないわけじゃないけど朝、昼と授業が始まるまでの間が長い間は読書をして絡まれるのを避けるために使う。


「はよー!」


「おはおはー」


「やほー」


クラスの後ろの方で声が上がる。我等がクラスの女王水瀬あいりが登校したようだ。

水瀬あいりはギャルだ。明るい茶色の長い髪。目が大きく、顔立ちが整っている。スタイルも抜群だ。まさにボンキュッボン!が当てはまる。

噂では彼氏は1人セフレが2桁のビッチ。学校内では童貞刈りをしているという噂まである。

そんな女王に俺は目をつけられている。


「なァなぁ、オタク君よ、今日も昼買ってきてくれるよねぇー?」


女王様が近くに来て俺の頭を掴み目を合わせてくる。完全に蔑んだ目で言ってくる。周りは誰も助けない。なぜならいつもの事だから、変にかばって自分に飛び火するのが怖いから何も出来ない。そして俺が頷くと手を離して自分のグループ戻っていく。


「あいりーまたキモオタ虐めてんのー」


「虐めてる訳ないじゃん、構ってあげてんだよ、くくく」


「あいりのペットで幸せな奴だねぇ」


水瀬あいりのグループの1人の女子、御堂凛が馬鹿にしてくる。それに便乗して女子二人が乗っかる。

毎日毎日こんな罵倒を繰り返される。よくこんなにされて学校を嫌にならないと思う。本来なら不登校になってもおかしくはない。でも俺にはこの学校に通わせてくれる母の苦労を知っているからどんなに辛くても学校には行く。それにゲームの中で俺に優しくしてくれる毎日励ましてくれる嫁がいる。だから毎日頑張れる。


4時間目が終わりパシリの時間がやってきた。4時間目終了のチャイムがなり礼をした瞬間俺は駆け出す。

パシリの時に買ってこなければいけないのは購買人気商品の焼きそばパンだからだ。開幕ダッシュをするのはどこも同じ、これで買えなきゃまた怒られる。だから急いで買いに行く。


そうやって急いで買いに来たので今日は間に合った。これが体育の日だったり移動教室の日なんかは絶望的だ。

焼きそばパンを3つ買って教室に戻る。2つが女王行きで1つが俺の昼飯になる。


「遅せぇよー」


「ごめん」


「早く寄越せ」


クラスに戻り、女王に焼きそばパン2つ献上する。大体文句を言われるので諦めた。

そしてご飯を食べて午後の授業も受ける。


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