たのしい魚捕り
岩場に出た。
いい感じに急峻な岩場で海も入り組んでいる。
しかもすぐ近くでもかなり深さがありそうだ。
「ここで何をするんだ」
「魚捕り。魚が浮いて岸に近寄ってくるから拾ってバケツに入れてくれ。あ、今は下がっていてくれ。濡れた場所にいると酷い目に遭うぞ」
四人は慌てて山側、乾いた岩の上まで避難する。
よし、それでは始めよう。
「いきなりの
海面に電撃魔法を打ち込む。
とにかく打ち込む。しつこく打ち込む。
少しずつ場所を変えて二十回ほど打ち込んだ。
案の定色々な魚が浮いてくる。
さあ次の魔法だ。
「
海面に浮いた魚が岸の方へ流れはじめた。
「よし、捕ってくれ。出来るだけ数多く頼む」
「海に触れても大丈夫なの」
「もう大丈夫」
私も皆と同じ岸辺へ。
浮いた魚がどんどん近づいて来た。
「よしつかまえろ!なおトゲとかありそうな奴はトングを使えよ」
取り敢えずイワシのような鉛筆三本を横に並べた位の魚から捕まえていく。
捕まえてはバケツに入れ、捕まえてはバケツに入れ。
「その茶色いのは大丈夫?」
「それはよけろ! 針が刺さると無茶苦茶痛い!」
ちなみにゴンズイだ。
イワシの他にはベラとか小サバとかメバルとか。
「あまり小さいのはいいからな。単なる電撃だからそのうち生き返るだろうし」
直撃したら死んでいるだろうが、まあそれは仕方無い。
魚の中には何かよくわからない茶色っぽい大きいのとかもいる。
更にいい型の黒鯛まで数匹。
「これは駄目だよね」
「どう見てもフグです無理です」
でもまあ、そんなこんなでバケツ八割くらいまで捕った。
「よし、これで充分だろ。帰るぞ」
「ええ、まだやりたい」
こらポニテ子供みたいな事言うな。
「
問答無用で魔法移動。調理班のところへ。
「捕まえてきたよー」
「待っていました」
調理班は今回は料理好きが率先してやっている形だ。
佐和さんがよいしょと魚入りバケツを置く。
「取り敢えずこんな感じ。料理お願い」
おーっという歓声があがる。
とりあえず数多いし、いい感じの大きさの黒鯛も数匹いるしな。
「料理方法はどうする。物によっては期待に添えないこともあるけれど」
「やっぱり刺身かな」
「私も刺身がいいです」
「同意!」
「私もだな」
「よし美和いくよ。鍋は煮物と天ぷら用準備」
「ほいきた」
調理班が動き出す。
鍋に油を入れたり、醤油と味醂を入れたりして準備。
「イワシやサバの小さいのは頭と内臓抜いて揚げるよ」
一人が恐ろしい勢いで小物を素手と魔法で捌いて隣へ。
隣の女の子が小麦粉をささっとつけて油入りの鍋へ。
油入りの鍋は油を入れたばかりなのに何故か適温らしく、魚が揚がっていく。
よく見るとコンロに火すらついていない。
温度調整を含めて全部魔法のようだ。
「こうやって見ると生活魔法もたいがいだな」
「便利さで言えばここが一番かもね」
私達が見守る中、調理班の魔法調理は続く。
黒鯛等はウロコ取り魔法だの五枚下ろし魔法だのを駆使。
あっという間に刺身部分とあら部分に分かれる。
あら部分は何か魔法で加工された後煮物鍋へ。
私ですらよく見ないと何をやっているのかわからない魔法が多い。
でもいつしか刺盛りの皿が五枚、煮物の皿が三枚、揚げ物皿も三枚とそれぞれ大皿に盛られていく。
『ピンポンパンポン、間も無く刺身、煮物、揚げ物が完成します。飢えた方は調理班までお越し下さい』
誰かがそんな魔法音声を流した。
おい待てそれ私達の班で捕った物だ!!
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